スパークリングワインの甘口、辛口って?
パーティーや誕生日のためにシャンパーニュやスパークリングワインを購入しようとした時に、同じ銘柄にもかかわらず、BrutやSecなど複数の種類があって、どれを買ったら良いのか混乱したということはありませんか?
このアルファベット、実は、スパークリングワインの味わいを表す言葉です。
これを頭に入れておくと、スパークリングワインを選ぶ時に、自分の好みの味わいを選んだり、合わせるお料理にピッタリな味わいの一本を選ぶよい目安になります。
今回は、スパークリングワインの残糖度による区分の解説と、それぞれのワインにマッチするお料理や、おいしさを引き出す飲み方について詳しく調べてみました。
◇甘口・辛口を決めるポイントは残糖量
ワインを飲んだ時に、「このワイン甘いな」「ドライだな」と感じるのはどのような違いによるものなのでしょうか?
ワインの味の感じ方には、果実味の強さや、アルコール度をはじめとするさまざまな要素が関わりますが、中でも大きな要素を占めるのが、ワインの残糖量。
残糖量とは、発酵が終了したワインの最終的な製品1リットルあたりに含まれる糖分の量のことです。白ワインやスパークリングワインの味わいは一般的に、この残糖量によって甘口から辛口に分類されています。
シャンパーニュ、カヴァなどの瓶内二次発酵のスパークリングワインの場合、泡を出すための発酵である瓶内二次発酵の終了後、瓶内のオリを除くためのデゴルジュマンという作業を行いますが、その時に味を調整するために「門出のリキュール」と呼ばれる、糖分を加えたワインが添加されます。この「門出のリキュール」に含まれる糖分により、最終的なワインの甘さが決まります。
また、スプマンテのように、瓶内二次発酵を行わずタンクで炭酸ガスを封じ込めるタイプのスパークリングワインの場合は、発酵中の果汁に糖分が残されている段階で発酵を終了すると甘口に、糖分が少なくなるまで発酵を進めると辛口に仕上がります。
目安としては、ラベルに記載されているアルコール度が低い(8%程度)ほど甘口、中程度(11%程度)なら半辛口、高ければ(12~12.5%程度)辛口と考えて差し支えないでしょう。
◇残糖量による分類を覚えよう
スパークリングワインの残糖量は、EUによって決められた統一基準によって、次のように区分されています。
現在、世界中のワイン産地でスパークリングワインが生産されていますが、ほぼこの基準にのっとり区分されていると考えてよいでしょう。
同じスパークリングワインのブランドでも、味わい別に何種類も商品がある場合が多いため、この区分名を覚えておくと、スパークリングワイン選びの参考になりますよ!
残糖量3g未満/L Brut Nature(ブリュット・ナチュール)、Pas Doze(パ・ドゼ)、Dosage Zero(ドサージュ・ゼロ)
全くドサージュをしない、極めて残糖の少ないスパークリングワインのこと。日本語では極辛口といわれます。
最近の辛口ワインの流行で、大手のシャンパーニュ製造メーカーが盛んに「ブリュット・ナチュール」「ドサージュ・ゼロ」をアピールした商品を販売しており、ちょっとしたトレンドのようになっています。
ブドウ本来のほんのりとした甘さが感じられる、キレのあるシャープな味わいです。
残糖量0〜6g/L Extra Brut(エクストラ・ブリュット)
日本語では上辛口と呼ばれます。すっきりと爽やかな辛口です。
残糖量12g未満/L Brut(ブリュット)
シャンパーニュなど瓶内二次発酵のスパークリングワインで最も多いのがこのブリュット。ブリュットの場合、残糖量の下限が決められていないため、ラベルにブリュットと記載があっても実際の残糖量は5グラム程度で、エクストラ・ブリュットにあたる残糖量のものが多いようです。日本語では辛口にあたります。
ドサージュはありますが甘みは控えめで、バランスの取れた辛口です。
乾杯用としてワイン単体で楽しむのはもちろん、料理の味を邪魔しないため、お食事と合わせてもどちらも美味しくいただけます。
残糖量12〜17g/L Extra Dry(エクストラ・ドライ)
「エクストラドライ」という名前から、超辛口を想像して今いますが、実はブリュットよりも残糖量が多いのがエクストラドライ。
シャンパーニュや瓶内二次発酵のスパークリングワインではエクストラドライはほとんど見かけることはなく、密閉タンクで発酵させて発泡させる「シャルマ方式」で作られるイタリアのスパークリングワイン「プロセッコ」でよく見かける定番の味わいがこのエクストラドライです。
辛口ワイン好きの皆さん、「エクストラドライは甘いんだ。じゃあプロセッコは買わないでおこう」と思わないで!
というのも、プロセッコに使われるブドウ品種であるグレラ種は、とても酸味の強い品種。多少糖分が多くとも、強い酸味があるため、さほど甘さは感じません。
甘さはあっても全体の味わいのバランスが取れており、飲みやすく親しみやすい味わいの辛口に感じるのが、プロセッコのエクストラドライです。
万人受けする味わいなので、パーティーや乾杯の場面にピッタリのスパークリングワインですよ!
残糖量17〜32g/L Sec(セック)
Secは、英語のDryにあたるフランス語の単語で、もともとは「辛い」という意味。ですが、実際はブリュットよりも残糖量が多いのがこのセック。
味わい的には、ちょうど辛口と甘口の中間にあたります。
辛口じゃないのに、なぜSecなのでしょうか?
実は、それには歴史的な理由があります。
そもそも、その昔1800年代までは、シャンパーニュは食後に飲む極甘口の発泡ワインでした。甘口ワインを好むロシア宮廷に輸出されていたシャンパーニュの中には、なんと1Lに150グラムもの糖を含んだものもあったそうです。ちなみに、コカコーラに含まれる1L当たりの糖分が108g。コーラと比較してみると、当時のシャンパーニュがいかに甘かったかが良くわかりますね!
なので、その昔の基準からいうと、セックは十分に辛口だったわけです。
その後、セックよりさらに辛口のシャンパーニュの登場に伴い、現在の主流であるブリュットという名称が使われるようになったそうです。
ちなみに、最初のブリュットのシャンパーニュが始めて出荷されたのは1856年、ペリエ・ジュエが最初といわれています。当時の糖分は20~22g/Lだったそうで、現在の基準ではセックにあたります。
現在ブリュットとして販売されているワインの残糖量が5g程度と考えると、最初のブリュットはずいぶん甘かったのですね!
糖分32〜50g/L Demi Sec(ドゥミ・セック)
日本語で言うと半甘口にあたるドゥミ・セック。
甘すぎず、上品さを感じさせる甘口で、料理だけでなくデザートとも合わせられる味わいです。
糖分50g以上/L Deux(ドゥー)
スパークリングワインの中で最も甘いのがドゥー。日本語では甘口となります。このクラスになるとはっきりとした甘さを感じます。
辛口ワインが主流の現在、作り手も流通量も少なく、なかなかお目にかかることがないドゥー。ワインにこだわりのある専門店で取り扱っていることがありますので、興味ある方は探してみて下さいね。
◇辛口、甘口、スパークリングワインはどんなお料理にマッチする?
・辛口スパークリング
ブリュット・ナチュール、エクストラブリュット、ブリュットなど、甘みの少ないすっきりした辛口ワインは、料理に合わせて楽しむのが最適です。
スパークリングワインは、炭酸が料理の味わいとのバランスを取ってくれるため、基本的にどんな料理とも相性が良く、オールラウンドにマリアージュできるといわれています。
特に相性が良いのは、魚介類。白身魚のお刺身やカルパッチョ、魚介類のカクテル、生ガキなどに良く合います。シャンパーニュのような熟成感のある辛口スパークリングワインなら、キャビアなどを合わせるのも良いですね。
また、パチパチとはじける炭酸は、カリカリした食感と共通点があるため、天ぷらやフリットなどのカリッとした衣をまとった揚げ物とも好相性です。
ただし、フルーツ、チョコレートやデザートなど甘みのある食べ物と一緒に楽しむには、辛口はあまり適しません。その場合は、ドゥミ・セックなど甘みがあるタイプのスパークリングの方が適しています。
・中辛口~中甘口スパークリング
エクストラドライやセックなど、ほのかな甘さがありバランスの良い万人受けする味わいのワインは、ワインだけでそのまま飲んでも十分楽しめるため、パーティーの乾杯にピッタリ。また、食前酒として飲むのも良いでしょう。
食べ物と合わせるなら、モッツアレラやカッテージなどのクリーミーなフレッシュ系チーズ、クリーム系ソースを使ったチキンや魚料理、エビやカニなど甲殻類を使った料理がぴったりです。生ハムなどのシャリュキュトリーにも良くマッチします。
また、イチゴなどのフレッシュなフルーツとピッタリ合うのもこのタイプのスパークリング。スイーツなら、フレッシュフルーツを使ったタルトやソルベが合います。
・甘口スパークリング
ドゥミセックのような上品な甘みを感じるスパークリンワインはそのまま飲んでも満足感が高いので、食前酒にピッタリです。
温まると甘みが目立ってしまうので、よく冷やすのが美味しく楽しむコツ。
夏場であれば、氷を浮かべてアイススタイルにして飲んでも良いでしょう。
ドゥミセックを料理に合わせる場合は、少し塩気のある食材を使ったお料理がぴったりです。生ハムで巻いたイチジクやメロン、フォアグラのポアレなどを合わせると、ワインのほのかな甘さがお互いの味わいを引き立て合います。
フルーツに合わせるなら、フレッシュフルーツよりも、シロップで煮てコンポートにしたもののほうが良いでしょう。また、クリームを使ったデザートともとても相性が良いです。
ドゥーのような極甘口のスパークリングであれば、合わせたいのはお食事よりもデザートやチーズ。
アイスクリーム、ババロアやムースのようなクリームを使ったデザート類、フルーツタルトなどと相性ピッタリです。チーズであれば、ドライフルーツやナッツを練りこんだクリームチーズや、カマンベールやブリー、塩気のあるブルーチーズなどが良いでしょう。
◇スパークリングワイン、一番美味しい飲み方を知りたい!
さて、ピッタリマッチするフードを学んだところで、もう一度復習しておきたいのが、スパークリングワインの美味しい飲み方です。
スパークリングワインを美味しく飲むポイントになるのは大きく2つ、グラスの形状と温度。それぞれ解説します。
・グラスは先がすぼまったタイプを!
一般的にスパークリングワイン用のグラスとしてよく使われるのは、縦に細長いシャンパンフルートです。
縦に長いことで、泡が立ち上るのが見られるという視覚的な美しさがあるのに加えて、飲み口の径が小さいため、ワインが空気に触れる面積が少なく、炭酸が逃げにくいのが良い点です。また、タンブラーなどと比べると容量も小さいため、ワインが温まってしまう前に飲み切れるのも良いですね。
ただし、シャンパンフルートには欠点が一つ。グラスのボディに膨らみがなく、ワインが持つせっかくの香りを感じにくいのです。特に、シャンパーニュのような熟成したスパークリングワインの場合、せっかくの熟成香を捉えにくくなります。
現在では、炭酸の抜けを抑えつつ豊かな果実味や塾成香を感じられるよう、白ワイングラスのような膨らみのをもつチューリップ型のスパークリング用グラスも販売されていますので、高級なスパークリングワインを楽しむ時には、グラスもそのようなタイプを使うのをお薦めします。
適当なグラスがないからと、トップ部分が開いたタンブラータイプのグラスを使うのはNG。あっという間に炭酸が抜け、また、ワインの温度が上がって爽やかなおいしさを感じられなくなりますのでご注意を!
ちなみに、シャンパンタワーでおなじみの平たい形状のグラスはクープと呼ばれ、17世紀にイングランドで作られた古いグラスです。
飲み口が開いているため、短い時間にたくさんのゲストに注ぐには適している反面、香りや炭酸が逃げやすいため、スパークリングワインを美味しく楽しむには不適切です。こちらも、「自宅でスパークリングを美味しく飲みたい」という場合には避けたいですね。
・温度が命、スパークリングワイン
一般的なスパークリングワインの飲み頃温度は6〜8℃。しっかり冷やしておくことで、スパークリングワインの命である炭酸が抜けにくくなり、爽やかな口当たりが楽しめます。
また、温度が上がると甘みを強く感じてしまうため、ドゥミ・セックのように甘みのあるスパークリングの場合、これより低い4~6℃程度まで冷やした方が良いでしょう。逆に、シャンパーニュのような熟成香のあるスパークリングワインの場合は、冷やしすぎると熟成由来の香りが感じにくくなります。なので、やや高めの8~10℃程度で楽しむのが良いといわれています。
ちなみに、一般的な適温である6〜8℃まで冷蔵庫で冷やすには、その時の室温にもよりますが、冷蔵庫に入れてから4時間程度はみておく必要があります。
ボトルを触って「冷えているから大丈夫!」と抜栓すると、冷えているのは外側のボトルだけで、中身はまだぬるかったということがあるので気を付けましょう。
また、冷蔵庫から取り出すと、その時から温度上昇が始まってしまいます。
ボトルにスパークリングワインが残ってしまった場合は、卓上にワインクーラーを置いて、冷却しながら楽しむのが良いでしょう。
◇新商品ノンアルコールスパークリング「デュク・ドゥ・モンターニュ ブリュット」はどんな味?
この3月より、湘南ワインのノンアルコール・スパークリングワインのラインアップに、新商品の辛口スパークリング「デュク・ドゥ・モンターニュ ブリュット」が加わりました。
通常品のデュク・ドゥ・モンターニュは、ほのかに甘味のあるノンアルコール・スパークリングワインであるため、食事と合わせて飲むには甘いというご意見がありました。
そこで、当店では製造メーカーのネオブュル社と組んで、よりドライな口当たりのノンアルコール・スパークリングワインの試作を開始。試作品をソムリエやレストランのシェフなど食のプロに飲んでいただき、改良を重ねてでき上ったのが、この新商品「デュク・ドゥ・モンターニュ ブリュット」
です。
味わいは、青リンゴとレモンを思わせる爽やかな果実味、いきいきした酸味に、爽やかなはじける炭酸とキリッとした口当たり。甘みが少なくお料理の味の邪魔をしないため、フードマリアージュは抜群。前菜からメインまで幅広く合わせていただけます。
食を愛する人にこそ選んでいただきたい、辛口タイプのノンアルコール・スパークリングワインです。
【こちらもご覧ください MELLOW過去記事】
・『スパークリングワインを使ったカクテル』の人気ランキング!
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