高級ワインと安物ワイン、いったい何が違う?!
世界で最も高級と言われる赤ワインといえば、フランス・ブルゴーニュのロマネコンティです。
ワインに詳しくない皆様も、その名前は一度くらいは耳にしたことがあるのでは?
世界最大のワイン検索サイト「ワイン・サーチャー」の調べでは、2020年度のロマネコンティの平均価格は1本あたり19,378ドル。1ドルを130円として計算すると、なんと250万円あまりになります。
ロマネコンティは極端な例としても、ワインショップに行くと、1本数万円するような高級ワインがワインセラーに鎮座していますよね。
それに対して、スーパーマーケットで売られている国産ワインの2022年7月の平均価格を見てみると、実に1本たった503円なのです!
同じブドウから作られるワインなのに、なぜこのような価格差が生じるのでしょうか?
今回のMELLOW magazineでは、高級ワインと安いワインの間にどうしてこのような価格差が生まれてしまうのか、安くても美味しいワインはどう探せばよいかなど、ワインと価格の関係について解説します。
◇高級ワインと安ワインを分ける要因いろいろ
高級ワインと安いワインの違いは、ズバリ、製造にどれだけ手をかけられているかです。
基本的に、高級ワイン=少量生産の手作りワイン、安いワイン=機械を使って工業的に生産する大量生産ワインと考えればよいでしょう。その違いを順番に見ていきましょう。
1.栽培方法
高級ワインの味わいの特徴は、なんといっても凝縮感ある果実味。
この凝縮感を作り出すために、原料のブドウを育てる際に、少数の実に光合成によって発生する成分を集中して行き渡らせるよう、実がまだ緑のうちに余分な房を刈り取る「グリーンハーベスト」という剪定作業を行います。
高級ワインの中には、なんと通常の1/10程度の量まで房を減らしてしまう場合もあるそうですよ!
グリーンハーベストにより、畑から取れるブドウの量が減ってしまうため、ブドウの単価が押し上げられることになり、それがワインの価格上昇につながるのです。
2.収穫方法
高級ワインと大量生産ワインでは、収穫方法も違います。
高級ワインの収穫は、人が一つ一つ房の成熟具合を確認しながら手摘みしていきます。また、ブドウが輸送中につぶれないよう、運搬も小さなかごに入れて運ばれます。
収穫されたブドウは、未熟な果実や腐った果実、葉、虫などを取り除く「選果」という作業を経ますが、高級ワインの場合、この選果も人が目視・手選別で行います。
それに対して大量生産ワインの場合、収穫は機械を使って大規模に行い、運搬はトラック。選果にも、レーザーを使って一定の糖度に達しない実を自動的に除く機械を使用して大量処理するため、コストを抑えられます。
3.発酵・熟成
高級ワインの場合は、アルコール発酵には小さなタンクやバットを使用することが多く、さまざまな作業も機械化されずに人の手で行われるため、作業の手数や人件費が多くかかります。
特に、高級ワインの熟成にはバリックと呼ばれる225~228リットルの大きさのオーク製の木樽を使用しますが、この樽はかなり高額で、価格はフランス産のもので一つ15万円、アメリカ産でも一つ10万円にもなります。
仮に、木樽の価格を10万円、1樽から生産されるワインが300本(225L÷750ml)とすると、全てを新品の樽で熟成させた場合、樽のコストだけで、1本のワインになんと333円もの木樽代がかかるのです。
また、使用済みの木樽は衛生上の問題で長期間使用し続けることができないため、寿命はおよそ3年程度。このように、高級ワインの価格において木樽の価格はバカにならない金額なのです。
それだけではありません。木目には細かな隙間があるため、木樽の熟成中に少しづつワインが蒸発し目減りてゆきます。なんと、年間にして2-10%程度のワインが蒸発により失われてしまうのです。これもワインのコストアップにつながります。
さらに、高級ワインの場合、樽熟成が終わった後に、瓶詰されてワイナリーで数年間瓶内熟成されますが、熟成中の保管コストもまたワイン価格に反映されます。
それに対して大量生産ワインは、数千リットルも入るような巨大なステンレス製タンクで発酵・熟成を行います。
巨大なステンレスタンクは設備投資にお金がかかるように感じますが、バリックのように頻繁に買い替える必要がないため、長い目で見るととてもローコストです。
また、大量生産ワインは長期熟成はせず、すぐに瓶詰・出荷されてしまうため、余分な保管費用の発生も抑えられます。
このように、高級ワインは人の手や時間をじっくりかけて作られるため、それが価格に反映して高額になってしまうのです。
4.ボトルやコルクも違います!
高級ワインは、一般的にボトルの状態で数年~数十年熟成させられることも考慮して、破損などがないよう分厚いガラスの重たいボトルが使われます。
光によるワインの劣化を防ぐためボトルは着色されており、赤ワインの退色を防ぐ緑色(赤の補色)のボトルが使われるケースが多いです。
また、瓶に栓をするコルクも、良質な天然コルクが使用されます。
それに対して、すぐ飲まれることを前提に作られている大量生産ワインに使われるのは、チープな薄手のガラスボトル。瓶内での保管や熟成を考慮していないため、デザインを優先して透明なガラス瓶が使用されることも多いです。
また、栓にはよりコストの安い、プラスチック製のコルクや合成コルク、スクリューキャップなどが使用されます。
ただし、このようなパッケージのワイン価格への影響は、製造におけるコストや、この後に述べるブランド価値と比べるとごくごくわずかなものです。
5.ブランド価値や希少性
ワインの価格を決定する最も大きな要因は、なんといってもブランド価値です。
たとえば、スパークリングワインの製法を確立したといわれる修道士ドン・ペリニヨンの名前をとったシャンパン「ドン・ペリニョン」、カリフォルニアを誇る名ブランドワインとして知られる「オーパス・ワン」などは、ワインにさほど詳しくない方でも一度は耳にしたことがある名前と思います。
世界的な知名度があるワインは生産量に対して高級希望者が多く、その結果として価格は跳ね上がります。
ここまでの有名ワインでなくとも、シャブリやシャンバーニュといった産地名が既にブランド化している名産地のワインは、それだけで他の産地のワインより価格が高くなる傾向があります。
また、ワインの希少性も価格を決める大きな要因です。
例えば、前述した世界一の高級ワイン、ロマネ・コンティのブドウが作られる畑の面積はたった1.8ヘクタール。大きさで言えば、たった134 m四方の面積しかありません。
そこから作られるワインは、少ない年でたった4000本、多い年でも7000本程度。その希少性が、1本数百万という希少価値を生むのです。
最高級ワインは高品質のブドウを使って手作業で丁寧に作られているため製造コストがかかっているのはもちろんですが、1本のワインが数十万円・数百万円にまで高騰するには、このようなブランド価値や希少性が不可欠なのです。
◇ブランドワインは買えないけれど、高級ワインが楽しみたいなら…
実は、製法の差による価格差というのはそれほど大きなものではなく、どんなに高級なワインであっても、実際の製造に必要なコストは数千円程度といわれています。
あとの価格差は、産地名によるブランド価値や、限られた生産数による希少価値。
なので、ブランドワインまでは買えないけれど、高級感あふれる味わいの美味しいワインを楽しみたいという方は、いつも飲んでいるワインより少し高い3000-4000円台のワインを試してみるのがおすすめです。
また、ボルドー、シャブリ、ブルゴーニュ、シャンバーニュといった有名産地を避け、アメリカ、南アフリカ、ニュージーランドといった新興のワイン産地の高め価格帯のワインを選ぶのも良いチョイスです。
これらの新興ワイン産地は、いずれもワイン作りに最適な気候・環境の土地として選びぬかれたエリア。ベストな環境から産出されたブドウを使い、最新の設備で作られるワインは、価格に対してとても高品質で、また、ブランド価値によって味わい以上に価格が釣り上げられるということもありません。
中でも、チリやアルゼンチンなど南米のワインは、ヨーロッパに比べると人件費も割安なため、安価でもあっと驚くような美味しいワインに出会えることがあります。
◇ノンアルコールワインに高級品はある?
本物のワインを脱アルコールして作られるノンアルコールワインには、蒸留法、逆浸透膜法、揮発性物質回収法などの製法がありますが、いずれのタイプにもいえるのは、脱アルコール前のワインの美味しさが最終的な製品の味わいを大きく左右するということです。
高級ノンアルコールワインとしてメロウストアがオススメするのは、ヴィンテンス・オリジンシリーズ。
オリジンシリーズは、製造の全工程をワインの専門家であるエノロジストが監修し、製造されたノンアルコールワインです。
果実味たっぷり、しっかりコクのあるクオリティワインから作られた、高品質なノンアルコールワインの味わいをお楽しみください。
☆ヴィンテンス オリジンシリーズ レ・ギャレ(赤)
南仏の太陽をいっぱいに浴びて育ったローヌ産のグルナッシュとシラーから作ったこだわりの赤ワインを、濃厚な赤ワインの風味はそのままに、アルコール度0.0%に仕上げました。
濃厚な赤ワインが恋しくなる秋・冬におすすめのノンアルコールワインです。
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☆ヴィンテンス オリジンシリーズ テッラ・オーストラリア(白)
ドイツ系ブドウの華やかな香りに、厚みある味わいとバランス良い酸味。
凝縮感とコクが感じられるノンアルコールの白ワインです。
2020年には、世界的なワインコンクールである「ブリュッセル国際コンクール」のノンアルコール部門で金賞を受賞するなど、味わいも折り紙付きです。
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【こちらもご覧ください MELLOW magazine過去記事】
・ワインのお作法、改めて解説します
・ワイン好きはなぜグラスを回す?ワインと酸素の美味しい関係
・安物ワインと思っていない?実はすごいスクリューキャップ