ワインのお作法、改めて解説します
ワインは好きだけど、あまり詳しくないという人にとって、クリスマスやバースデイなどで高級レストランに行くと、悩ましいのがワイン選びですよね。
アルファベットが並ぶワインリスト、そしてボトルワインを注文すると求められるホスト・テイスティング…。
今回は、高級レストランでのワイン選びやテイスティングで緊張せずにすむよう、ワインを頼むお作法をおさらいしてみました!
◇アペリティフって必要なの?
高級レストランに着席すると、まず「アペリティフはいかがですか?」と聞かれるのが一般的です。
アペリティフとは、食前に飲むお酒のこと。アルコールで胃を刺激して食欲を増すのがアペリティフの約目です。
一般的にアペリティフにはスパークリングワインが好まれますが、これはアルコールに加えて、炭酸の刺激が食欲をかき立てるから。
これ以外にも、辛口のシェリー酒、スピリッツやリキュールをジュースや炭酸で割った軽めのカクテルも好まれます。
着席したらまずアペリティフを頼み、アペリティフを楽しみながらゆっくりとその後のお料理を選ぶとスマート。でも、予算が心配な場合はお水を頼んでももちろん大丈夫ですよ。
◇ワインが多すぎて選べない?!何を頼んだらいい?
さて、お料理を頼むと、ソムリエから「ワインはどうなさいますか?」聞かれます。
基本はワインリストか、オーダーしたお料理に合わせて、味わいが強い料理には濃厚で力強いワインを、味わいが弱い料理にはさっぱりしたワインを合わせるのが基本になります。
サラダやアンティパストには白ワインやロゼワイン、魚料理なら白ワイン、肉料理なら赤ワインを選んでおけば無難でしょう。
また、お料理の味わいとワインの持つ味の特徴を合わせるととても良い相性が楽しめます。
例えば、コショウの効いたビーフステーキやグリルした牛肉には、スパイシーなニュアンスのあるシラーやカベルネ・ソーヴィニヨンがよく合います。
牛肉に比べて優しい味わいの鴨肉・チキンや豚ならピノ・ノワールが良さそうです。ピノ・ノワールはお醤油と相性が良いので、和食に合わせるにも良いですよ。
また、ソースにクリームを使ったお料理や、バターで焼いたお魚などには、しっかりとオークの効いたクリーミーなニュアンスのある樽熟成のシャルドネがおすすめです。
同じお魚でも、カルパッチョなどの生魚や、オリーブオイルとレモンて味付けしたお料理は、ソーヴィニヨン・ブランのようなスッキリした味わいの白ワインがピッタリです。
「ワインはどうも良くわからない…」という方は、とりあえずシャンパーニュを頼むという裏技があります。
軽やかな炭酸とキリッとした酸味のシャンパーニュは、前菜からデザートまで料理を選ばず美味しく楽しめます。酸味が口を爽やかにしてくれるため、脂っぽい料理や、中華料理、エスニック料理などとも相性抜群です。
また、お料理に合ったワインを選んでもらうようソムリエにおまかせしてしまうのも手。その場合、予め予算を伝えて選んでもらいましょうね。
◇ホスト・テイスティングを乗り切る4つのポイント
さて、ボトルワインをオーダーすると、求められるのがホスト・ティスティングです。
ここでいう「ホスト」とは、食事のおもてなしを行う側の人のこと。グループの場合はその食事の主催者、カップルの場合はエスコート役の男性のことを指します。
ホスト・ティスティングは、これから抜栓するワインがホストが選んだ品に間違いないか、そして、品質面の問題がないかを確かめるためのもの。
「ティスティング」といっても、ワインの味わいについての気の利いたコメントなどをいう必要はありませんので安心してください!
ホスト・ティスティングの手順は次のようになります。
1.自分の選んだワインに間違いないか確認する
ワインリストからワインを選ぶと、ソムリエがワインをテーブルまで持ってきてくれます。そこで、似た名前やラベルのワインが間違って持ってこられたり、ヴィンテージが違っていないかを確認しましょう。
ボルドーワインなど、ヴィンテージが1年違うだけで価格がかなり異なる場合があるので要注意です。
2.異物が入っていないか目視で確認
選んだワインに間違いなければ、ソムリエがワインを抜栓して、グラスに少量注いでくれます。
いきなりグビグビ飲んでしまうのはマナー違反。まず、ワインに濁りがないか、異物が混じっていないかを確認しましょう。グラスを斜めにして、テーブルクロスの上にかざしてみると確認しやすいでしょう。
3.香りをチェック
次に、グラスに鼻を近づけて香りをチェックします。
もし、生乾きの雑巾や濡れた段ボールのような臭いがあれば、それはブショネ。コルクの問題から生じる不良品です。
また、腐った卵や温泉のような臭いがする場合もあります。発酵中に酸素が不足すると硫黄化合物が発生しますが、それによってワインに硫黄の臭いがついてしまい、これは還元臭と呼ばれます。
軽度のものであればグラスに注いだり、デキャンタージュ(ワインを空気にさらして酸化を進めるため、別の容器に移し替えること)すると気にならなくなることもあります。
実際には、抜栓時にソムリエがコルクの香りをかいでブショネや還元臭がないかを確認するため、ホスト・テイスティングで問題あるワインに出会うことはほぼゼロといってよいですが、万一、おかしな香りを感じることがあれば、ソムリエに確認しましょう。
4.いよいよテイスティング
色、香りに問題がなければ、ワインを口に含み、口の中で転がすように味わいます。味に問題がなければソムリエに「大丈夫です」「結構です」などと伝えましょう。ソムリエがワインをゲスト全員にサーブしてくれます。
ただし、「この味は好みでないので、別のものと交換してください」というのはマナー違反ですよ!
「やっぱり僕はワインに詳しくないし、そういうのは苦手だなぁ…」という方は、ホスト・テイスティングを勧められたらソムリエに「お願いします」とお任せしてしまいましょう。
ワイン選び、そして、ホスト・ティスティングは難しく考えなくても大丈夫。緊張して食事が楽しめなくなってしまうようでは本末転倒です。
いざという時は、ワインのプロフェッショナルであるソムリエに頼って、リラックスして高級レストランでの時間を楽しんでくださいね!