今が旬!美味しく食べよう、サバ
2013年ごろから、「健康に良い」、「栄養素が手軽に摂取できる」とブームを迎えているサバ缶。
2020年のパンデミック発生によるステイホームにより、栄養豊かで、かつ買い置きできる食材として、最近ますます注目を集めています。
今回は、この栄養たっぷり、ワインやノンアルコールワインにもピッタリのサバについて、含まれる栄養素の数々、食べる際の注意ポイント、おすすめレシピなど幅広くリサーチしてみました!
◇サバってどんな魚?旬は?
サバ缶、サバの味噌煮、しめサバなど、私たちの食卓に上る機会も多い、とても身近な魚のサバ。
世界中で捕獲され食べられているサバですが、一口にサバといっても、実は1種類ではなく、スズキ目・サバ科に属する近縁の魚の総称となります。
サバは肉食性の回遊魚です。南の海域で卵からかえった稚魚はプランクトンやオキアミを食べて大きくなりますが、成魚になると餌であるイワシや小アジなどの小魚を求めて外洋に出て北上。この間、たっぷりの脂を蓄えて成長します。そして、産卵のため再び南下を繰り返すという回遊生活をしています。
日本で主に食べられているサバは、品種的には次の3種類です。
・マサバ
日本沿岸で捕獲され、10月から2月ごろにかけて旬を迎えるのがマサバ。産卵期の春に向けて、秋から冬にかけて栄養を蓄えるマサバは、この時期にたっぷりと脂がのって最高に美味しくなります。
サバといえば「秋サバ」「寒サバ」など冬が旬のイメージがありますが、それはこのマサバの旬が秋から冬にかけてだからです。
背中は青緑色でサバ柄といわれる紋があり、お腹は白銀色、少し平たい紡錘形(ぼうすいけい)をしているマサバ。マサバは別名「ヒラサバ」と呼ばれますが、これは、マサバを切った時の断面が、押しつぶしたように平たいことから来ています。
・ゴマサバ
ゴマサバも、日本沿岸で捕獲されるサバです。マサバとよく似ていますが、お腹にゴマを散らしたような模様が見られます。紡錘形で細長い体をしており、平たいマサバと違い、切った断面が円に近いのが特徴です。そのため「丸サバ」という別名もあります。
マサバのように時期による味の変化が少ないため、旬というべきシーズンはなく、年間を通じて安定した味わいのサバです。
ゴマサバはマサバよりも脂が少なくたんぱく質が多めで、価格は安価です。サバ節の原料としても使われており、サバに由来する強い香りと、濃厚で甘みとコクのあるダシが取れるのが特徴です。
・タイセイヨウサバ(ノルウェーサバ)
北大西洋に広く分布し、ノルウェーやアイスランドから冷凍サバとして輸入されているマサバが、タイセイヨウサバです。しめ鯖や鯖缶などの加工食品の原料となったり、回転寿司などでも使用されているおなじみのサバで、外国産ですが私たちの食卓にのぼる機会は一番多い品種です。
9月から10月頃にかけて、よく脂がのって霜降り状態になり旬を迎えますが、冷凍されて輸入されるため、通年美味しく食べられます。
外見はマサバとよく似ていますが、背中の模様がサバ柄ではなく、くっきりしたストライプなのが特徴です。
その他に、独自のブランド名で呼ばれる、高品質の「ブランドサバ」が各地で捕獲・養殖されています。ここでは代表的なものを紹介します。
・関サバ
ブランド魚の先駆けといえる存在の「関サバ」は、大分県・佐賀関沖の豊後水道で、漁師さんが1本釣りした天然ものの高級マサバのことをいいます。
一般的なマサバより脂乗りがよく、身は引きしまって、ぷりぷりの食感が特徴の高級サバです。
・金華サバ
宮城県石巻市の沖にある金華山という島の周辺に住む、回遊しないマサバのうち、サイズの大きなものだけが名乗ることを許されるのが「金華サバ」。
回遊しないため脂がたっぷり乗っていますが、臭みはなく後味はすっきり。大きく引き締まって厚い身の高級サバです。
・お嬢サバ
JR西日本と鳥取県岩美町の共同事業によって2017年より養殖開始されたマサバです。地下からくみ上げた海水を使用し、陸上の施設で養殖されています。
養殖のためアニサキス(寄生虫)の心配がないので、通常は味わうことができない白子・真子や肝も安心して食べられます。なお、「お嬢サバ」という名前は、箱入り娘の「お嬢様」から取られたそうです。
・唐津Qサバ
唐津市と九州大学の共同研究により、2014年に生まれた唐津Qサバ。人工ふ化させた稚魚を成長まで育て、その成魚から卵を取って次世代を育てる完全養殖のマサバです。
回遊する天然サバと違い、えさの量や成分をコントロールできるため、通年脂乗りが良いのが特徴で、アニサキスのリスクもなく、青魚の臭みも少ない美味しいサバです。
次回から、サバを食べる機会には、ぜひサバの種類にも注目してみてくださいね!
◇サバの栄養価
サバはとても栄養豊かな魚。体を構成する主要成分で、筋肉・皮膚やホルモンなどの成分となる重要な栄養素のたんぱく質や、カルシウムの吸収をサポートし健康な骨や歯を育てるビタミンD、糖質の代謝や皮膚・粘膜の健康維持、造血に関わるビタミンB群、体に酸素を運搬する色素・ヘモグロビンの原料となる鉄など、体に重要なさまざまな栄養素を含んでいます。
中でも、サバに含まれる最も特徴的な栄養素は、DHAとEPA。青魚に含まれる頭や目にいい成分、あるいは、生活習慣病を予防する成分としてサプリメントとしても販売されているので、ご存じの方も多いと思います。
DHAとEPAはいずれも、不飽和脂肪酸の中でもn-3(オメガ3脂肪酸)と呼ばれる必須脂肪酸の仲間。体内で合成できない脂肪酸のため、食品から摂取する必要があります。
では、DHAとEPAの働きを詳しく見てみましょう。
・DHA(ドコサヘキサエン酸)
n-3(オメガ3脂肪酸)とよばれる不飽和脂肪酸の一種のDHA。DHAは、脳・神経組織や目の網膜などを構成する重要な脂質です。
DHAの最大の特徴は、脳血液関門を通れる物質であるという点です。
脳は重要な機関のため、血液中の薬剤などのさまざまな成分が簡単に脳に侵入しないよう、血液脳関門という仕組みにより守られていますが、DHAは、この血液脳関門を通過して脳に届くことのできる数少ない物質の一つなのです。そして、摂取することにより、脳や神経へさまざまなプラスの作用をもたらしてくれます。
・記憶力、判断力を向上させる
DHAは神経細胞の発育を促し、機能を維持したり、脳組織のシナプスの可塑性をサポートします。そのため、記憶力・集中力を高めたり、新しいことの習得を助けます。学業に励む人、受験生にはぜひ取ってもらいたい栄養素です。
・アルツハイマー型認知症の予防・改善効果
アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が萎縮する病気です。DHAは神経細胞を修復し、また、残った神経細胞の働きを助ける作用があるため、アルツハイマー型認知症の予防・改善に効果があるといわれています。
・精神を安定させる効果
最近の研究では、DHAの摂取が攻撃性を減らし精神を安定させると報告されています。気分障害や行動障害の改善にも期待ができます。
・視力の改善
目の網膜に含まれる脂肪酸の約40%はDHAです。DHAは目の健康な働きの維持に欠かせない栄養素で、近視の改善、動体視力の向上は、ドライアイや緑内障の予防などに効果があるといわれています。また、未熟児にDHAを摂取させると、未熟児網膜症のリスクを低減します。
・アレルギー予防・炎症の緩和
DHAには、シクロオキシゲナーゼという、アレルギーを引き起こす物質のプロスタグランジンE2を生成する酵素の働きを阻害します。これにより、DHAの摂取により、アトピー性皮膚炎、花粉症、喘息などのアレルギー症状や関節炎が緩和されます。
DHAは胎児の脳・神経系の発育にも不可欠のため、妊娠中のお母さんに積極的に摂取してもらいたい栄養素です。
また、DHAにはコレステロール値を低下させる作用があり、もう一つのEPAとともに、高血圧、動脈硬化、脳卒中などの予防・改善効果が期待できるといわれています。
では、EPAの効果を見てみましょう。
・EPA(エイコサペンタエン酸)
EPAはDHAと同じn-3(オメガ3脂肪酸)系の不飽和脂肪酸の一種です。
高脂血症や閉塞性動脈硬化症の治療薬としても使用されており、以下のような作用があります。
・血栓の予防
EPAには高い血小板凝集抑制効果があります。これにより、血液をサラサラに保ち血栓を防いだり、動脈硬化や心筋梗塞を予防してくれます。なお、血を止まりにくくする作用があるため、血液凝固を抑える薬を処方されている方は摂取を控えましょう。
・中性脂肪を下げる
EPAは、 肝臓での脂質の合成・分泌を抑え、肝臓や血液中の中性脂肪を減らしてくれます。それにより、体内の血液のめぐりがスムーズになります。
・血管の弾力性を保つ
EPAは血管壁に入り込み、血管のしなやかさを保ちます。それにより、動脈硬化などを防ぐ作用があります。
このように、二つのオメガ3脂肪酸のDHAとEPAが補い合って、血液・循環器の健康を維持し、脳の機能を健やかに保つことでて、生活習慣病や加齢に伴う疾患から体を守ってくれるのです。
これから脳の成長期を迎える子供たちから、年を重ねた年代の方々まで、しっかりDHAとEPAを摂取したいですね!
◇気を付けたい!サバが原因の食中毒
このように、サバは栄養的にとても優れた魚ですが、「私はサバアレルギーで蕁麻疹がでてしまうから、食べられない」という人の話を聞いたことはありませんか?
実は、サバによって引き起こされる皮膚の赤みや蕁麻疹、ただれ、頭痛、嘔吐などのアレルギー様症状は、実は体質的なアレルギーではなく、サバに含まれるヒスタミンによる「アレルギー性食中毒」である場合が多いのです。
・ヒスタミンによる食中毒
この症状の原因となっているのは、鮮度の落ちたサバの身の中で発生する「ヒスタミン」という物質。
サバに限らず、青魚(血合いの多い魚)にはヒスチジンというアミノ酸が多く含まれています。このヒスチジンが、サバに付着しているヒスタミン酸性菌が出す酵素によって時間の経過とともにヒスタミンという物質に変化し、そのサバを食べてしまうことでアレルギー様症状が引き起こされるのです。
なお、ヒスタミンは熱では分解されないため、いったんヒスタミンが発生したサバは、加熱調理しても食中毒リスクは下げられません。
ヒスタミンによる食中毒を予防するには、
・常温での放置は厳禁。特に、冷凍品の解凍時は要注意!
・冷蔵保存期間もなるべく短くする
の2点に注意しましょう。
なお、まれに、魚の筋肉に含まれるパルブアルブミンやコラーゲンという成分に対してアレルギーが出るケースもあります。この場合、サバに限らず複数の魚が原因となって、顔・首・口腔内などにアレルギー症状が出るとされています。
もしサバを食べた時のみアレルギー症状がでるという場合は、体質由来の症状ではない可能性が高いため、一度病院などでアレルギー検査をしてもらうと良いかもしれませんね。
・アニサキス(寄生虫)
もう一つ、サバを食べる際に気を付けなくてはいけないのはアニサキスという寄生虫。
アニサキスは線虫の一種で、その幼虫は、サバ・アジ・サンマ・カツオ・イカなどの魚介類に寄生することが知られています。
アニサキス幼虫は通常、魚介類の内臓に寄生していますが、寄生している魚介類が死亡すると、内臓から筋肉に移動します。魚をさばいた時に、2センチほどの白い虫が動いているのを見かけたことはないでしょうか?それがアニサキス幼虫です。
アニサキス幼虫が寄生した魚を、生、あるいは加熱が不十分なまま食べてしまうと、 アニサキス幼虫が胃壁や腸壁を食い破って「アニサキス症」と呼ばれる食中毒を引き起こします。
原因となる魚を食べてから数時間後~数日以内に、急に胃の激しい痛みや嘔吐が生じたり、強烈な下腹部痛に見舞われた場合は、アニサキス症の疑いがあるため、速やかに医療機関を受診しましょう。
アニサキス症を避けるには、以下のような点に気を付けましょう。
・新鮮な魚を購入しましょう。また、丸ごとの魚を購入した場合は、すぐに内臓を取り除いておきましょう。
・調理時にアニサキス幼虫がついていないかを、しっかり目視確認します。なお、酢で締めたり、塩をふっても幼虫は死にませんので注意を。
・内臓を食べる時は必ず加熱しましょう。身を食べる時は、60℃以上で1分以上加熱をすれば安心です。
安全にしっかり気を付けて調理して、美味しくサバを楽しみましょうね!
◇サバにあうワインは?おすすめの調理法は?
さて、サバにはどのようなワインを合わせたらよいのでしょうか?
まず、ワインと合わせる前に考えなくてはいけないのは調理法。
日本の食卓では、サバといえば味噌煮込みや塩焼きがおなじみですが、このような和風のレシピに、西洋の飲み物であるワインをマッチさせるのはハードルが高いです。
やはり、ワインを合わせるなら洋風の調理法が一番。匂いが強いサバを美味しく調理するには、ガーリックやハーブを使った地中海風や南仏風の味付けがよく合います。
ガーリックとオリーブオイルで皮をカリッと焼き上げて、レモンを絞ってハーブソルトを振りかけたり、サバはトマトソースととても合うので、ムニエルにしてラタトゥイユ風のソースをかけたり、油でからりと揚げて、オニオンやパプリカとともに甘酢でマリネしたエスカベッシュも美味しく楽しめます。
サバの味わいの特徴は、やはりその脂分。よく脂が乗ってコクのある青魚のおいしさを引き立てるには、フレッシュな味わいの白ワインがよく合います。
ブドウ品種でいうなら、ピノグリージョ、ミュスカデ、ボルドーブレンドの白(セミヨン&ソーヴィニョンブラン)を合わせると良くマッチします。価格はあまり高くない品で十分です。
南仏ラングドックのピクプール・ド・ピネなど、酸味のあるワインも良いでしょう。
ロゼワインも、サバの濃厚な味わいによく合います。甘みのないドライタイプを合わせるのがマリアージュ成功のポイントです。南仏プロヴァンス・スタイルのロゼワインが手に入ったら、ぜひサバと合わせてみましょう。
また、スパークリングワインもおすすめです。スパークリングワインのキリッとした酸味と軽やかな泡が、脂っこさを洗い流して、口の中をすっきりとリフレッシュしてくれますよ。
◇ワインと合わせたい、サバレシピ
ここでは、ワインと相性ピッタリ、かつ、家族団らんしながらおうち時間を楽しめる洋風サバレシピ、「たこ焼きプレートで作る、サバ缶のひとくちアヒージョ」を紹介します。
サバ缶を使用するので、面倒な下ごしらえも不要。冷蔵庫に買い置きしてある野菜を使って簡単に作れますよ!
たこ焼きプレートで作る、サバ缶のひとくちアヒージョ
【材料・用具】
2人前
・たこ焼きプレート(ない場合は、スキレットやフライパンでOK)
・サバ缶 1個
・オリーブオイル 1瓶
・ニンニク(できれば生、チューブも可)2,3かけ
・輪切り唐辛子 1袋
・塩
・ブラックペッパー
(具)各適量
・ブロッコリー、プチトマト、パプリカ、じゃがいも、キノコ類など好みの野菜
・バケット(1cm厚さにスライスして、軽くトーストする)
【作り方】
1.ニンニクは皮をむき、包丁で芽をとって、スライスする。
2.具材の下ごしらえをする。
・サバ缶はお皿に開けて、一口大に粗くほぐす。
・野菜類、その他の具材も、一口サイズ(サバとともに、タコ焼きプレートの穴に入る程度の大きさ)にカットする。
3.タコ焼きプレートの穴にオリーブオイル1センチほど注ぎ、スライスしたニンニク、輪切り唐辛子を入れて、香りが立ってくるまで中温でタコ焼きプレートを加熱する。
4.香りが立ってきたら、タコ焼きプレートの穴に、サバと好みの野菜を入れていく。グツグツと火が通ったらできあがり。バゲットを添えて召し上がれ。
サバ以外にも、エビ、タコ、ホタテ、カニカマなど、好みの魚介類を使っても美味しいですよ。
◇サバと楽しみたいノンアルコールワイン
MELLOW STOREがオススメする、サバに合わせたいノンアルコールワインは、ネオブュル社のノンアルコール・ワインシリーズの「ヴィンテンス」、そして「ヴィンテンス・オリジン」の白ワイン2種。
ネオブュル社のノンアルコール・ワインは、いったん醸造したワインを減圧蒸留法という特殊な方法で40℃以下の低温で蒸留し、元のワインに含まれる成分をなるべく変化させないようにアルコールのみを除いてノンアルコール化しています。
さらに、アルコールより低い温度で蒸発してしまう香りの成分を回収して、もう一度お酒に戻す技術を採用することにより、元のワインに近い味わいを再現しているため、まるで本物のワインを思わせる味わいです。
「ノンアルコールはマズい」というイメージをくつがえす、ネオブュル社のノンアルコール・ワインシリーズ。リアルなワイン風味を楽しんでください!
柑橘と青リンゴのさわやかな果実香に、ほんのりと上品な樽のニュアンス。しっかりとした酸が効いていて、クセのない味わいがどなたにも飲みやすいノンアルコール白ワインです。
ブドウ栽培から醸造、瓶詰までをワイン作りのスペシャリストである「エノロジスト」が監督。原料となるブドウの品質にこだわりぬいて作られた、ワンランク上のノンアルコールワインです。
ブドウ品種はゲヴュルツトラミネールとリースリング。アロマティックな香りに、酸味とフルーティーさのバランスがとれた味わいのノンアルコール白ワインです。
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