【焼き鳥知識まとめ】知っているようで知らない焼き鳥の豆知識
今回は、ワインとのマリアージュも抜群な焼き鳥の豆知識をまとめました。
そもそも、焼き鳥とは何?
焼き鳥はあまりにも馴染みのある料理であるため、その定義が曖昧になっていますが、
・鶏肉、鶏・豚・牛などの内臓を使う
・焼いて塩やタレを付ける
・串に刺されたものが多い
という点が、焼き鳥と言えます。焼き鳥は、素材を焼いて、味付けをして、たいてい串についている料理が前提ではありますが、料理の自由度は高く、全国には様々な焼き鳥が存在します。
例えば、愛媛県の「今治やきとり」と言えば、皮焼きのことを指します。串に刺さずに鉄板で焼き、コテのような道具で押さえて焼きます。同じ愛媛県の四国中央市の「揚げ足鳥」は、鶏もも肉丸ごと一本を薄い衣やパン粉につけて揚げます。愛媛県の四国中央市では、焼き鳥=揚げ足鳥なのです。
香川県丸亀の「骨付鳥」は、鶏の骨付きもも肉を特製のスパイスで味付けして、オーブンで蒸し焼きにします。骨を持ちながら、かぶりつく、豪勢な感覚が得られる焼き鳥です。
宮崎県の「炭火もも焼き」は、一口大に切った鶏もも肉を網に乗せて、炭火でいぶすように焼き、炭の色と香りを染み込ませた後に、鉄板で鶏肉を温めます。
長野県上田市の「美味だれ焼き鳥」は、にんにく醤油のタレを焼き鳥に後追いでかけて食べます。串カツと同じように、タレが入ったケースやコップに浸すこともあります。
このように焼き鳥は、単に「鳥を焼く」に留まらず、蒸したり、揚げたり、調理方法や味付けなども地域によって様々です。
鶏じゃなくても、豚でも、牛でも、馬でも、焼き鳥になります
鶏以外の動物の肉を使った串焼きも「焼き鳥」と呼ばれます。豚は鶏が高級品だった時代に、鶏が使えずに豚を使用して焼き鳥と言い張ったのが起源という説があります。
鶏の「とさか」は美容家もうなる良質のヒアルロン酸が豊富な部位
鶏の頭の上にある「とさか」。とさかは自然界で良質のヒアルロン酸を含む部位で知られ、美容食として歴史的に古くから中国やヨーロッパでは高級食材として利用されており、なんとフランス国王のアンリ―2世の王妃カトリーヌ・ド・メディッチが好んで食べていたと言われています。
よく聞く「希少部位」を食べたいなら鶏を丸ごとさばくことができる店を探す
先ほどお伝えした「とさか」は、希少部位と呼ばれ、1頭から取れる量が少ない部位とされています。焼き鳥の希少部位を食べたい場合は、精肉店や卸業者直営店、自治体から食鳥処理の認可を受けた店で、鶏を丸ごとさばくことができる店を探すようにしましょう。
焼き鳥を串に刺す理由とは
ネットでは、以前に複数人数での宴会や飲み会で、1つの串を分けて食べるはアリかナシかという「焼き鳥串論争」が盛り上がりましたよね。
マナーの問題は様々な意見があるかと思いますが、焼き鳥を串に指す理由は、調理加工を快適にし、調理後に食べやすいという利点があるためです。
日本料理では、古くから形が崩れやすい焼き物に串を刺して、形を整えるという作業がなされていました。焼いた後に問題がなければ、提供時には串は抜かれていました。
そして、江戸時代中期に屋台で田楽や蒲焼きが串に刺さったまま売られると、これが偶然にもお客さんにウケて、文化として根付きます。串に刺さっていると、手軽につまめるようになったためです。
串から抜いてバラして食べると、抜いた穴から旨味成分である肉汁が出ていったり、開いた穴から熱が逃げて冷めてしまいます。
本来焼き鳥をもっとお手軽にしてくれている串という存在を邪魔と感じ、1つの串から鳥を外して、それをみんなでちびちび食べるというのは、全体の平等性を気にしすぎる今の日本人の気質から来ているのかもしれません。
福岡では「豚バラ」は最も定番の焼き鳥の1つになっています。福岡県の「久留米やきとり」では、馬の心臓の焼き鳥があります。北海道の阿寒町では、エゾジカ肉を串焼きにしてご飯に乗せる料理が「阿寒やきとり丼」と名付けられています。
焼き鳥に使われる鶏の種類とは
鶏は家畜として、肉用、卵用、卵肉兼用に分かれて飼育されています。日本での代表的な肉用鶏は、
・白色コーニッシュ
・白色プリマスロック
の2種類です。白色コーニッシュはイギリス原産で、発育がよく肉付きが良いと言われています。白色プリマスロックは、アメリカ原産で異品種の遺伝子導入を何回も受け、品質が改良されています。
よく耳にする「ブロイラー」という言葉は、鶏の品種ではなく、肉用に品種改良された交雑種を飼育した若鶏の総称になります。
日本の地鶏とは
地鶏とは、明治時代までに日本で成立・導入されて定着した鶏のことを指します。明治時代までに日本に古くから存在する鶏を「在来種」と位置づけ、現在、地鶏と表記をするためには、
・50%以上の在来種の血が入っている
・75日以上飼育している
などの条件がJAS規格によって定められています。代表的な日本の地鶏は、
会津地鶏、伊勢地鶏、岩手地鶏、インギー鶏、烏骨鶏(うこっけい)、鶉矮鶏(うずらちゃぼ)、ウタイチャーン、エーコク、横斑(おうはん)プリマスロック、沖縄髭(ひげ)地鶏、尾長鶏、河内奴(かわちやっこ)鶏、雁(がん)鶏、岐阜地鶏、熊本種、久連子(くれこ)鶏、黒柏鶏、コーチン、声良(こえよし)鶏、薩摩鶏、佐渡髭(ひげ)鶏、地頭鶏(じとっこ)、芝鶏(しばっとり)、軍鶏(しゃも)、小国(しょうこく)鶏、矮鶏(ちゃぼ)、東天紅鶏、蜀鶏(とうまる)、土佐九斤(くきん)、土佐地鶏、対馬地鶏、名古屋種、比内(ひない)鶏、三河種、蓑曳矮鶏(みのひきちゃぼ)、蓑曳(みのひき)鶏、宮地鶏、ロードアイランドレッド
があります。
焼き鳥は備長炭で焼くと美味しくなる
炭は炭でも備長炭は、高温で火力が強く、旨味を素早く閉じ込めることができるため、焼き鳥を美味しくすると言われています。
焼き鳥はの形状は扇形
焼き鳥は炭火で焼くことが多く、焼き台に炭を配置すると、どうしても奥の方が火が強くなってしまいます。肉を均一に焼くためには、奥で焼かれる先端部分を大きくする必要があります。
このため、焼き鳥は先端に向かうにしたがって大きくなる扇形になっています。
美味しい焼き鳥店はお昼に営業していないことが多い
実際に美味しく、味にこだわっているお店は、自分で串打ちをして仕込んでいるため、仕込みに時間が掛るため、昼の営業ができないということが考えられます。もちろん、お店の規模や店員さんの人数で変わってくるところでもありますが、美味しい焼き鳥屋さんは、昼には営業せずに、夜のみの時間に営業している可能性が高いと考えることができます。
実際に、仕込みをどのようにやっているのか、その点の情報に注目して、お店を見分けてみるのも良いでしょう。
世界にも焼き鳥がある
サテ<インドネシア>
サテは、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイなどの東南アジア諸国で広く食べられている串焼き料理。小さく切った鶏肉や山羊肉を、ケチャップマニスや食塩、コリアンダーなどの香辛料で作ったタレに漬け込んで、串に刺して炭火でじっくり焼いたものです。現地では竹串ではなくヤシの木で作った串がよく使われ、焼くのにもヤシがらがよく使われます。
プロシェット<フランス>
ブロシェットとは串(くし)のことで、串に刺して焼く料理を言います。材料には、鶏(とり)肉、獣肉類、魚貝類、レバーなどに、補助材料としてタマネギ、ピーマン、キノコ類などが用いられる。まず串に肉類、野菜類などを交互に刺して用意し、炭火にかざしたり網焼きにします。付け合せには、粉吹(こふ)きいも、フライドポテト、レモンなどを用いる。ソースとしては、ブラウンソースなどを添えます。
シュラスコ<ブラジル>
シュラスコは、ブラジルの肉料理で、金串に大きな肉のかたまりを刺し、塩をふって炭火で焼いたものです。様々な部位の牛肉をはじめ、各種の肉を用います。レストランではウェイターが串ごと客席に運び、目の前で食べたい量を切り分けるという供し方が一般的で、アルゼンチンなど南米諸国で同様のものがあります。
ケバブ<トルコ>
ケバブは、肉・魚・野菜などをローストして調理する料理です。肉は主に羊肉、牛肉、鶏肉が使われます。四角形に切った肉を串に刺して焼いたものが典型で、トルコだけでなく、中東とその周辺地域で作られます。
最後に
今回は焼き鳥の豆知識をまとめてみました。旅行に行った際は、焼き鳥を食べ歩いてみると、自分の地元とは違う文化に触れられるかもしれません。また、自分たちでワインに合わせた焼き鳥を作る際は、常識にとらわれずに、自分たちがピンときた食材を組み合わせて、焼いてみると、自分だけの焼き鳥文化が出来上がりますよ。ぜひ、今回の記事も参考にしてみて下さい。