美味しさのカギ!ビールの泡の秘密
これから暑くなる季節に向けて、飲みたくなってくるのはビール!
ビールと聞いて思い浮かぶのは、生ビールのジョッキの上にこんもりと盛り上がる白い泡ですよね。
実は、ビールにつきもののこの泡に、ビールの美味しさを高めるすごい効果があることをご存知でしょうか?
今回は、ビールの泡と美味しさの関係についてご紹介したいと思います!
◇ビールの泡の正体って何?
ビールの泡の正体は、ビールの製造工程で発生し、ビールに溶け込んだ炭酸ガス、いわゆる二酸化炭素です。
では、どのようなプロセスで、ビールに二酸化炭素が溶け込むのでしょうか?それにはビールの製法を理解する必要があります。
ビールの材料は、麦を発芽させて作った麦芽、ホップ、水、そして酵母。
麦芽を細かく砕きお湯を入れて混ぜ合わせると、麦芽に含まれる酵素の力でデンプンが糖化して、甘い麦汁になります。
この麦汁にホップなどを加え味を調えた後、酵母を加え、麦汁の糖分をアルコール発酵させることでビールが作られます。
アルコール発酵の際、糖は酵母によってアルコールと二酸化炭素に分解されるのですが、この時に密閉した耐圧タンクでアルコール発酵を行うと、逃げ場のなくなった二酸化炭素はビールの中に溶け込みます。
ビールは二酸化炭素を含んだまま缶や瓶に充填・密閉されて出荷されますが、開栓してグラスに注ぐと、この二酸化炭素が外に出てくるため細かな泡を作り出すのです。
実は、シャンパンなどのスパークリングワインも、ビールと同様に、密閉状態でアルコール発酵を行い二酸化炭素を溶け込ませる製法で作られます。
では、なぜスパークリングワインの泡はすぐ消えてしまうのに、ビールの泡はこんもりと長く残るのでしょうか?
その理由は、ビールの原料である麦芽とホップにあります。
まず、二酸化炭素が作った泡の表面に、麦芽由来のタンパク質がならんで泡をコーティングします。
更に、ホップに含まれる苦み成分のイソフムロンが、タンパク質を補強するため気泡が安定し、そのためフワフワした泡が長持ちするのです。
麦芽やホップはビール独特の味わいを生むだけでなく、あの特徴的な泡を生むためにも一役買っているんですね!
◇ビールの美味しさを守る!?ビールの泡の効能を学ぼう
ビールを美味しそうに見せてくれて、クリーミーな口当たりをプラスしてくれる泡。
実は、他にもビールをより美味しくしてくれる、次のような効能があります。
・泡がフタのような効果を果たして、ビールから炭酸ガスや香りが逃げるのを防ぐ
・泡によりビールが直接空気に触れずに済むため、ビールの酸化を防ぐ
・ビールに含まれる苦成分は泡になじみやすいため、苦み成分を取り込んで、ビールの味わいをマイルドにする
普段はお手軽に缶や瓶から直接ビールを飲んでいるという方も、時にはグラスに移して、まろやかでクリーミーな味わいを華やかな香りをぜひ楽しんでみましょう!
◇ポイントは三度注ぎ!美味しい泡を作る注ぎ方を学ぼう
ビールを頼んだら、テーブルに運ばれてきた時にはすっかり泡が減ってしまっていたという経験はありませんか?
ここでは、消えにくくきめ細やかで美味しい泡を作る方法を見てみましょう。
モコモコと消えにくい泡を作るため、ドイツやチェコでは伝統的に、ビールを3回に分けて注ぐ「三度注ぎ」という方法が取られています。
・グラスは寝かせず垂直に立て、少し高い位置から、ビールを勢いよく注いでグラスがいっぱいになるまで泡を立てる。泡が落ち着き、グラスの半分程度に減るまで数分待つ。
・泡が落ち着いたら、グラスをやや斜めにし、缶や瓶の口をグラスの縁につけ、静かに泡の下にビールを注ぎ込む。徐々にグラスを起こして、泡がグラスの口より1センチ程度盛り上がるまで注いで、泡が落ち着くまで少し待つ。
・仕上げに、垂直にグラスを立てた状態で、もう一度上からビールを注ぎ入れて、飲み口より2センチ程度盛り上がるまで泡を立てたら完成。
ちなみに、クリーミーな泡の口当たりと、その後に続く爽快なビールの味わいがバランスよく楽しめる黄金比率は7:3と言われています。
三度注ぎで注ぎ終わった時に、ビール:泡のバランスが7:3になるよう目指しましょう。
◇他にもあります!ビールを美味しく楽しむポイント
注ぎ方だけでなく、他にもビールの美味しさをアップさせるために、いくつか気を付けたいポイントがあります。
・買ってきたら休ませる
お店でビールを買って帰って、すぐに飲むのは実はNGってご存じですか?
これは、輸送中に缶や瓶が揺られた振動で、ビールから炭酸が分離してしまっているから。このまま開栓してしまうと、一気に炭酸が抜けてしまい、爽快な口当たりが楽しめません。
なので、買ってきたビールは最低一日は冷蔵庫で休ませるのが良いでしょう。
また、冷蔵庫での保管時は、ドアポケットなど振動のある場所に置くのはNG。寝かせるのも、缶や瓶が転がるためよくありません。振動のない場所に、立てて置いて炭酸を落ち着かせるのが、良い状態でビールを楽しむポイントです。
・油分は大敵!グラスは清潔に
ビールの泡がうまく泡立たない…という場合、使用したグラスはキレイでしたか?
グラスに付着した油分は、泡もちを損ないます。使用前にグラスの油分や汚れ洗剤で取り除き、しっかり水洗いしましょう。
洗う時のスポンジに油が付着しているとかえってグラスを汚す可能性があるので、油物を洗うスポンジを共用するのは避けたほうが良いです。
洗いあがったら、逆さにして自然乾燥がベスト。布巾で拭くと、布巾の汚れや臭いが、せっかく洗ったグラスに付着してしまう恐れがあります。
・一番美味しい温度は
暑い季節はキンキンに冷やしたビール!と思っていませんか?
実は、低温では爽快なのど越しは楽しめますが、麦に由来する豊かな香りや味わいは感じづらくなってしまいます。
ビールの美味しさを最高に引き出すには、そのビールのタイプに合った温度が大切。
日本で一般的に売られている缶ビール(ラガービール)の場合は、ラガーの特徴であるキレのある味わいを堪能しつつ、香りも楽しめる6~8℃が飲み頃です。
これは、冷蔵庫で冷やしておいたビールを、常温のグラスに注いた直後の温度。ラガービールを飲む時は、飲む直前までしっかり冷蔵庫で冷やすようにすると良いですね。
また、ベルギーやイギリスのビール、最近流行のクラフトビールに多いエールビールの場合、特徴である発酵由来のアロマやコクのある味わいをしっかり堪能するには、やや高めの8~13℃程度が適温です。
これは、冷蔵庫から取り出したビールをしばらく常温に放置してから、常温のグラスに注いだ温度。
エールビールの場合は、早く飲みたい気持ちをグッとこらえて、少し待ってからゆっくり飲み始めるのが良いですね。
◇ノンアルコールビールも、グラスで楽しもう!
MELLOW STOREでは現在、ベルギー・Neobulles社のノンアルコールビール ” ビア・デザミー 0.0″を販売中です。
Neobulles社のノンアルコール飲料の美味しさのポイントは、いったん醸造したエールビールを真空蒸留という特殊な方法で低温で蒸留し、ビールが持っているアロマを守りながらアルコールのみを除いた点。
なので、本物のベルギーのエールビールの豊かな香りを堪能しながら、アルコール度は0.0%に抑えられます。
香りをしっかり満喫するには、瓶から直接でなく、ぜひビールグラスに注いでから召し上がるのがオススメですよ!