ワインに氷は邪道?!ロックで楽しむワイン、ノンアルコールワインのすすめ
暑い季節、爽やかな口当たりのソーダやビールについつい手が伸びてしまう季節になりましたね。
しかし、MELLOW読者のワインファン、ノンアルコールワインファンには、「やっぱりワインが一番好き!」という方が多いのではないでしょうか?
今回はそんな皆様に、夏に美味しくワインを楽しむとっておきの方法として、ワインに氷を入れて飲む新スタイル・ロックワインをご紹介します。
◇赤ワインは常温で楽しむものと言うけれど…
ワインのお作法として、「白ワインは冷やして、赤ワインは常温で楽しむもの」という言葉を、皆さん一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ワインは果実に由来する成分だけでなく、発酵中・熟成中に生まれる様々な成分が混じり合って複雑なアロマ・フレーバーを作り出しています。
そのため、ワインがもつ美味しさを十分に堪能するには、香り・味わいを最大限に引き出す適温で飲むことが重要なのです。
一般的なワインの飲み頃温度は、スパークリングワインなら6℃程度、白ワインなら10℃程度、赤ワインならライトなもので15℃程度、どっしりしたフルボディタイプで18℃程度と言われています。
湿度が低くて夏でもさほど高温にならず、建物が石造りのため室内が涼しいヨーロッパでは、赤ワインは常温で飲むのは理にかなっています。
しかし、高温多湿で、冷房を入れても室温が二十数℃になってしまう日本の真夏の場合、それは不適切。室温に置いたワインは温度が高くなりすぎて、ワインの美味しさに重要な役割を果たす酸味がボヤけて感じにくくなるため、味わいのバランスが崩れてしまいます。
なので、日本の皆さんは、夏場には赤ワインを飲むときも開栓前に冷蔵庫で軽く冷やすようにすると良いですよ。
◇ワインに氷は邪道??冷やして美味しいワインを選ぶコツ
ワインというと難しいお作法がありそうですが、何より一番なのは楽しく飲むこと。
なので、氷を入れるのはダメ!というルールはありません。
最近では、スパークリングワインに氷を入れて飲むアイススタイルも見かけるようになってきましたよね。
ただし、氷で冷やして美味しく飲むためには、冷やすことに合った味わいのワイン選びがとても大切になってきます。
では、氷を入れて美味しいワインの選び方、そして美味しく飲むコツをお教えしましょう!
甘みの強いワイン、果実味の濃いワイン
冷え冷えのジュース。ぬるくなったら急に甘ったるく感じるようになったという経験はありませんか?
ヒトは舌の味蕾と呼ばれる部分で味を感じますが、実はこの味蕾が最も活発に働くのが30度前後。温度が低くなるほど味を感じにくくなってしまいます。
そのような訳で、冷えた状態では常温の時より甘みを感じにくいため、冷たい飲み物は甘みを強くすることが必要なのです。
このように、ワインに氷を入れる場合も、甘みや果実味が強いものを選ぶと美味しく楽しめます。
カリフォルニアワインやチリワイン、スペインワインなど、太陽がさんさんと降り注ぐ温暖な産地で作られた、果実味たっぷりのワインがオススメですよ。
渋みの強いワイン、高級ワインは避けたほうが良い
ワインに氷を入れる時に、もう一つ注目したい要素が渋みです。
赤ワインの渋みの元になっているのは、ブドウの皮や種に含まれるタンニンと呼ばれる物質。タンニンには、ワインにしっかりしたボディや深みを与えたり、また、ワインの保存性を高め長期熟成を可能にする作用があります。そのため、長期熟成型の高級ワインにはタンニンがたっぷり含まれています。
このタンニン、低い温度だとより際立って感じられ、温度が高くなるとまろやかに感じられるという特徴があります。
伝統的に、長期熟成型のフルボディワインほど高めの温度で楽しみますが、それはこのためなのです。
また、樽香や、熟成中に生まれる熟成香も、温度を下げると感じにくくなります。
なので、タンニンを多く含み、長期の熟成を必要とするワイン=高級ワインは、氷を入れて冷たくして楽しむには適さないのです。
キンキンに冷やして美味しいのは、タンニンが少なくフルーティー感の強い早飲みタイプ。お手頃価格のワインのほうが、美味しく楽しめるようです。
繊細なワイングラスはNG
ワインといえば、専用のグラスで飲むものと思っていませんか?
これは通常の温度帯で飲む場合は大正解。
グラス専門メーカーによって作られたワイングラスの形状は、ワインの香りを引き出し、美味しさを最大限に感じられるよう、ベストな形にデザインされています。
しかし、口当たりを高めるためグラスの厚みが大変薄く、デリケートに作られていますので、氷をドボンと入れて使うには不適当。ぶつかってヒビが入ったり割れてしまう可能性があります。
氷を入れてカジュアルに飲むなら、高級なワイン専用グラスでなくても大丈夫。ある程度厚みがあり、強度のあるグラスを選びましょう。
飲み物が冷たくなっても飲みやすい、取っ手付きのジョッキを使っても良さそうですね。
氷にもこだわろう
氷入りの飲み物。美味しいけれど、飲んでいるうちに氷が溶けて薄くなってしまうのが悩みのタネですよね。
氷入りドリンクを美味しく飲むためには、氷選びがとても大切です。
ぜひとも、コンビニやスーパーなどお店でロックアイスを購入して使用しましょう。実は、ロックアイスは透明でキレイなだけでなく、溶けにくいのです。
その理由はロックアイスの製法。氷屋さんか作る氷は、高めの温度で時間をかけてゆっくり凍らせて作られます。
自然な状態の水には、空気、消毒用のカルキ、ミネラルなどの不純物が含まれていますが、高い温度でゆっくりと氷の結晶を育てることで、こうした不純物が凍る途中に押し出され純粋な氷ができ上がります。
自宅の冷凍室で作った白っぽい氷と比べると、ロックアイスの透明度が高いのはこのため。そして、不純物を含まない氷は溶けにくく、飲み物が薄くなりにくいのです。
ワインはもちろん、氷を入れて楽しむ飲み物には、ぜひロックアイスを使ってくださいね!
◇ノンアルコールワインに氷を入れると?
当店のノンアルコール赤ワインは2種類ありますが、いずれもタンニンがマイルドなので、冷やしても強い渋みを感ずることなく楽しめます。
赤・白・スパークリングいずれも、甘さは控えめなため、冷やしすぎないよう気をつけましょう。
また、フルーツやスパイスを入れて甘みを補いサングリアにしたり、炭酸で割ってスプリッツァーにしたり、ひと手間かけてワインカクテルとして楽しむのも良さそうですね。
これからの季節、夏でも美味しくロックワインを楽しんでくださいね!