ワインの酸化防止剤ってぶっちゃけどうなの?ワインの酸化防止剤まとめ
コンビニに行くと、「酸化防止剤無添加ワイン」といういかにも健康志向なワインを目にしないでしょうか?
実はこれはボージョレ・ヌーボーを越える日本のトンデモ実情なのです。
世界のワインたるワインのほとんどに酸化防止剤は使われています。
なのに、なぜ、日本の酸化防止剤無添加ワインだけ、酸化防止剤を使わないのかご存知ですか?
それは国際的なワインの観点で言えば、日本の酸化防止剤無添加ワインは「ワインではない」からです。
「ロマネ・コンティ」も「ドンペリ」も「五大シャトー」も全て、世界中で造られる名だたるワインには酸化防止剤が使われています。
酸化防止剤として使われているのは亜硫酸です。
亜硫酸って危ないと思っていませんか?
「亜硫酸=なんとなく健康を害しそう」でも「酸化防止剤無添加ならなんとかく健康に良さそう」みたいな感覚になりますよね。
確かに亜硫酸ガスは自動車の排気ガス等で大量に排出される硫黄酸化物の一種で、亜硫酸塩は、漂白剤としても使われます。
しかし、それはワインの中に入っている亜硫酸とは違います。
ワインと亜硫酸
メルシャン社のワイン情報サイトによれば「亜硝酸塩は体重50Kgの人が毎日9リットルずつ90日間ワインを飲み続けても、慢性毒性の症状は起きない」という動物実験データがあるようです。
酸化防止剤である亜硫酸は、ワインの醗酵時に生成されるアルデヒドの不快な香りと成分を取り除く働きがあります。
そして、このアルデヒドと亜硫酸が結合して無害無臭の物質に変化するんです。
瓶詰め時に添加した亜硫酸も何かと結合したい性格を持つ元々不安定な存在なので、半年で1/5程度に、数年でほぼ数値に表れないほどに減少すると言われています。
アメリカの場合は、ワインに含有される亜硫酸塩の法的上限は350ppmですが、亜硫酸塩を添加したワインの大部分は25から150ppmしか含有していません。
酸化防止剤無添加ワインはワインじゃない?
酸化防止剤無添加ワインは、原料輸入や醸造行程の中で原料ブドウが雑菌類に侵されないように処理を施したり、出来上がったワインを日本酒のように加熱殺菌したり、細菌を除去する特殊なフィルターを使用してろ過するなど、製品が変質しないための処理を行なっています。
酸化防止剤無添加ワインの規定ですが、使われるぶどうには規定がなく、化学肥料使用可、農薬使用可、除草剤使用可になります。
農薬や化学肥料を使ってないのはビオワインと言われるものだけです。
言わば、「酸化防止剤無添加」と書かれたワインは「酸化防止剤を使わない為の工業的な処理がなされているワイン」とも言えます。
この点は、日本のほとんどのノンアルコールカクテルがアルコール飲料からアルコールを除去したのではなく、ノンアルコールカクテルを作るために、ジュースに工業的な処理を施し、アルコールを含まないカクテル味の飲み物を完成させたものと同じ作りです。
冷凍濃縮果汁を水で戻して糖分を加え、そして醗酵させ、加熱殺菌することでワインの風味を殺し、今後一切熟成しないという飲み物になってしまいます。
国際的には生ぶどうを原料とする醸造酒だけがワインとされており、日本で販売されているような酸化防止剤無添加ワインはワインとして認められないとも言えます。
ワインの醍醐味は熟成で、この熟成によって亜硫酸が揮発していくということを考えれば、国際的なワインは非常に理にかなった飲み物と言えますよね。
酸化防止剤の役割
なぜ、ワインに亜硫酸塩を添加するかというと、そこには多くの理由が存在します。
まず一つは微生物の活動を抑制することです。
ワインの中で好ましくないバクテリアや酵母が繁殖するのを防ぐことです。
例えば、酢酸菌という微生物の影響を受けると、どんなに素敵なワインも酢に変化してしまいます。
二つ目は、文字通りワインの酸化を防ぐことです。
葡萄の育った自然風土から醸成される複雑な風味を、ワインできちんと表現するには参加を防ぐ必要があります。
酸化を防ぐことで、不純物を沈殿させて清澄作業が簡単になったり、色素の溶出と安定を促進したりと、ワインにイイことが増えていくわけです。
最後に
今回はワインの酸化防止剤について掘り下げていきました。
商品の名称の印象だけで、本質を決めつけるのは良くないですよね。
適度に飲むのであれば、国際的なワインの方が、ワインの本質を貫いた飲み物と言えるかもしれません。
今回の内容はあくまでも、一説ですので、ぜひ、この記事を参考に酸化防止剤について掘り下げてみて下さい。