赤ワイン?白ワイン? ワインエキスパート本間朋子の【ワインはじめてアドバイス】
秋こそワイン生活をスタートしよう
ワインづくりに関わる人にとって秋は、「1年は秋に終わり、秋に始まる」と言われるくらいに忙しい季節。なぜなら、開花から約100日間をかけて成熟したブドウが収穫期を迎え、同時にワインづくりがスタートするからです。
ワインは、ブドウの果汁に含まれる糖分を直接発酵させたお酒です。ビールや日本酒のように“仕込み水”を使うことがないので、原料のブドウの質がそのままワインの味わいに影響します。だから、収穫のタイミングを見極めるのはとても大切。ブドウ農家は、空模様をにらみながら、慎重に収穫作業を行います。
収穫期を迎えたフランスボルドー地方のブドウ畑
ところで、赤ワインと白ワインの違いは何だと思いますか。
え? 黒ブドウと白ブドウの原料の違いでしょ?と思ったアナタ――正解です!
まれに黒ブドウを使った白ワインもありますが、基本的に赤ワインは黒ブドウから、白ワインは白ブドウからつくります。そのポイントは、ブドウの「果皮と種」にあります。
赤ワインは、ブドウの果皮と種を一緒に発酵させて、あとから果皮と種を取り除きます。一方、白ワインは、ブドウから果皮と種を分けて、果汁のみを発酵させます。つまり、赤ワイン独特の渋み(タンニン)は種子に、美しい赤色(アントシアニン)は果皮にその元があるのです。
収穫したブドウを選果する
家でワインを飲みたいけど、どんな料理と合わせればいいの?と悩んでいる人もいるかもしれません。でも、まずはこの色の違いをわかっていれば大丈夫。基本は料理とワインの「色を合わせる」ことです。
一般に「魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワイン」と言われますが、見た目の色が濃いウナギの蒲焼きやサバの味噌煮は赤ワインでも合いますし、ぽん酢でさっぱりと食べる豚肉のしゃぶしゃぶは白ワインとも相性が良いのです。同じように、ナスやトマトなどしっかりとした色の濃い野菜は、赤ワインともマッチします。もちろん同じ食材でも調理方法や調味料で変わるので、1本のワインを用意して、自分好みのマリアージュを見つけるのもいいですね。
ブドウの収穫&ワインづくりがはじまる秋、あなたもワインが食卓にある生活をスタートしてみませんか?
自分好みの料理とワインの合わせ方を見つけよう
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本間朋子 Profile
旅と食のライター/日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・調理師
新聞社勤務を経て、2009年に独立。おもに「食」「旅」に関する記事を雑誌や新聞、Web媒体などに執筆するほか、「食」をキーワードとした地域活性化を目的にイベントなどを企画する。「食生活ジャーナリストの会」会員、有限会社Let It Be 代表取締役。
※ワインエキスパートとは
ソムリエと同等程度の知識を持っているワイン愛好家の呼称認定資格で、日本ソムリエ協会が認定する。資格には職業により下記の3種類がある。
・ソムリエ……飲食店でのアルコールを含むサービス業従事者
・ワインアドバイザー……酒類製造、流通業従事者または教育機関の講師
・ワインエキスパート……上記以外のワイン愛好家