良薬は口に甘し?!ノンアルコールワインともぴったりチョコレート、驚きの健康効果

まもなくバレンタインデー。
日本ではすっかりチョコレートを贈る日として定着しているバレンタイン。
なんと、一年間の国内のチョコレートの売上のうち10%はバレンタインデーの売上だそうです。まさに国民的な行事ですね。
みんなに愛されているチョコレートですが、美味しいだけでなく健康面にもとても良い効果があります。
今回はチョコレートの持つ健康効果ついてフォーカスしてみました。
また、大人のチョコレートの楽しみ方として、ワインやノンアルコールワイン、お酒類とチョコレートの相性についても解説します。
◇元々は薬。チョコレートに含まれる栄養素は?
チョコレート原料であるカカオは、元々は中米原産の植物で、紀元前2000年頃から栽培されていたと言われています。
現在は甘いお菓子として食べられているチョコレートですが、実は原料のカカオは、アステカ帝国やマヤ帝国では滋養強壮や疲労回復、精神の高揚・興奮をはじめ様々な薬効のある薬として使用されていました。
当時はドロドロにすりつぶしたカカオ豆に、トウモロコシの粉や唐辛子、スパイス等を加えた苦~い飲み物として飲まれていたそうです。
ちなみに、とても高価で貴重な品であったため、カカオを口にすることができたのは皇帝や貴族など上流階級の人々だけ。その価値は、アステカ帝国ではなんとカカオ豆が通貨の代わりに使用されていたという記録が残っていることからもうかがえます。
そしてコロンブスのアメリカ大陸発見後、キリスト教の布教のために中米を訪れた修道士たちにより、カカオはヨーロッパに持ち帰られました。
ヨーロッパ上陸当初は苦い飲み物として飲まれていたカカオですが、その苦味を打ち消すため砂糖やミルクが加えられ、17世紀頃にはヨーロッパの王族や貴族の間でぜいたくな甘い飲み物として愛好されるようになりました。
その後、産業革命を経て、19世紀の中ごろに現在のようなスタイルの固形チョコレートの製造技術が完成したと言われています。
カカオに含まれる主な栄養素は、タンパク質、脂質、食物繊維、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などの必須ミネラル類など。
そして、カカオの持つ薬効の元になっているカカオポリフェノールとテオブロミンが含まれています。
今日は、この2つの栄養素に焦点を当てて解説していきましょう。
◇動脈硬化や高血圧対策にカカオポリフェノール
ポリフェノールとは、植物の色素や苦味の元になっている成分のこと。
ポリフェノールには様々な種類があり、代表的なところではブルーベリーに含まれるアントシアニン、お茶に含まれるカテキン、赤ワインに含まれるレスベラトロールなどが有名ですが、いずれも、抗酸化物質として知られています。
ヒトの生命活動には酸素が不可欠ですが、体に取り込まれた酸素の一部は他の分子と結びつき、非常に強い酸化力をもつ物質・活性酸素になります。
加齢に伴って体が老化したり、様々な生活習慣病を発病するのは、この活性酸素のダメージにより細胞が酸化し、いわば錆びついてしまうから。
そして、この活性酸素の働きを阻止する物質が抗酸化物質です。
カカオポリフェノールには様々な効果がありますが、代表的なのが、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールを減らす作用です。
血中にLDLコレステロールが増えすぎると、余剰のコレステロールは動脈の血管壁に入り込んでコブのような盛り上がりができます。この状態が動脈硬化。
カカオポリフェノールには、血中のLDLコレステロールを減らす作用があることが実験により証明されており、動脈硬化を改善する作用があると考えられています。また、それにより心筋梗塞、狭心症、脳卒中、血栓などのリスクが軽減します。
また、カカオポリフェノールには血圧を下げる効果があります。
一日25グラムのハイカカオチョコレートを一ヶ月摂取した実験では、実験終了後の血圧に低下が見られ、また実験開始前の血圧が高いグループほど血圧の低下量は大きくなりました。
カカオポリフェノールには抗炎症作用がありますが、これが血管内の炎症を静め、炎症により狭くなっていた血管を広げて血が流れやすい状態に改善されることで血圧が低下すると考えられています。
このように、チョコレートを食べることで、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病の改善に効果が期待できるのです。
◇リラックス成分テオブロミン
そして、チョコ―レートに含まれるもう一つの代表的成分はテオブロミン。
カカオの苦みの元になっているテオブロミンは、植物中に存在する強い薬理効果をもつアルカロイドと呼ばれる物質の一種です。
テオブロミンは、コーヒーに含まれるカフェインと近縁の物質で化学構造もよく似ていますが、中枢神経への作用はずっとマイルド。
カフェインのような覚醒作用より、むしろ集中力を増したり、神経を鎮静して心を落ち着ける作用があります。
また、テオブロミンには神経伝達物質のセロトニンを増加させる働きがあります。
セロトニンの別名は「幸せホルモン」。チョコレートを食べて脳内のセロトニンが増えることで、精神の安定や心の安らぎ、リラックス感がもたらされたり、ストレスの解消につながると考えられています。
加えて、テオブロミンは内臓の筋肉(平滑筋)をゆるめる作用があり、それにより気管支を拡張して咳を静めたり、末梢血管の拡張により血流が良くなり血行を改善する効果もあります。
これは寒さが厳しく、風邪を引きがちな冬場には特に嬉しい効果ですね。
◇どのくらいの量を食べればいいの?
生活習慣病の改善やストレスを解消して心を安定させるなど、大人にうれしい様々な健康効果をもつチョコレート。
甘いお菓子として楽しむだけではなく、健康維持のためにもぜひ積極的に摂取したいですね!
しかし、一般的なチョコレートの場合はカカオ以外に油脂や砂糖を多く含んでいますので、カカオを摂取しようとチョコレートを食べることで、余剰なカロリーを取ってしまう危険があります。
例えば、一般的なミルクチョコレートの場合は、全体の40%が砂糖、カカオマスは25%、ミルクが20%、カカオバターが15%。
ダークチョコレートの場合は、カカオマスと砂糖が同量の45%ずつにカカオバターが10%。
なんと、カカオ分と同量~カカオより多くの砂糖が含まれているのです!
そのため、ポリフェノールやテオブロミンなどの有効成分の効果的な摂取のためには、ハイカカオチョコレートと呼ばれる、カカオ分の多いチョコレートを選ぶようにしましよう。(ハイカカオチョコレートの目安はカカオが70%以上です)
一日の量は、25グラム程度あれば十分でしょう。
◇大人だけのお楽しみ、チョコレート&お酒のマリアージュ
カカオのアロマがかぐわしいチョコレート。同じく香りを楽しむ要素が強い酒類とは、実は相性抜群です。
大人ならではのチョコレートの楽しみ方として、チョコレートとお酒の相性について少し解説します。
・ビール、ウィスキーとの相性
カカオが香るダークチョコやハイカカオチョコにぴったりなのは、麦芽の香ばしいビール。濃厚な味わいのスタウト(黒ビール)が良く合います。
オレンジピール・チョコには、柑橘風味のクラフトビールがベストマッチです。逆に、すっきりした味わいのビールを合わせるのは避けた方がよいでしょう。
また、ウィスキーもチョコレートと好相性。
樽熟成に由来するウィスキーの華やかで香ばしい香りや苦みは、チョコレートと共通性があり、お互いの良さを引き立てあいます。
・ワインとの相性
チョコレートにワインを合わせる場合は、タンニンが多く渋みが強いワインを合わせないよう要注意。お互いの苦みを増幅してしまいます。
アイスワインやレチョート、パッシート(干しブドウで作った甘いワイン)、あるいはポートワインなどの甘みが強いワインと合わせると美味しく楽しめます。
また、ワインは元々ブドウから作られているため、赤ワインやノンアルコール赤ワインの場合、干しブドウが入ったチョコレートはワインとの相性が良いです。白ワインやノンアルコールの白ワインであれば、オレンジピールやイチゴなどを使ったチョコレートがワインのフルーティーさにマッチするでしょう。
チョコレートはスパークリングワインも好相性。バレンタインに高級なトリュフなど頂いた時には、ぜひシャンパーニュやカヴァなどのスパークリングワインと合わせてみてくださいね。ノンアルコールのスパークリングワインにもぴったりですよ!