ワインぴったり!牡蠣大研究
冬になるとスーパーマーケットや、レストランのおすすめメニューなどで見かける機会がぐっと増えるのが牡蠣。
カキグラタンやカキフライ、カキの土手鍋、焼きガキなどなど・・・、海のミルクとも呼ばれるクリーミーな味わいは、煮ても焼いても揚げても絶品!ワインはもちろん、ノンアルコールワインとの相性もぴったりの食材です。
今日は、そんな牡蠣について調べてみました。
◇冬の味わい?いえいえ実は一年中が旬!
牡蠣の旬はRが付く月、という言葉を耳にしたことがあると思います。
英語の月名にRが付く月といえば、September(9月)からMarch(3月)まで。牡蠣の食べごろは秋から早春にかけてのこの7か月で、これ以外の月の牡蠣は美味しくないというのですが、実はこれ、半分が本当で半分はウソ。
私たちが食べている牡蠣にはさまざまな種類がありますが、日本で食べられている牡蠣を大きく分けると、真牡蠣(まがき)と岩牡蠣(いわがき)に分けられます。
真牡蠣(まがき)は、牡蠣の中でも最も一般的な種類で、私達が牡蠣と聞いてイメージするのはこの真牡蠣。
世界中でも盛んに養殖が行われており、手に入りやすいのが特徴です。
日本でも、太平洋岸の広島、岡山や宮城などが有名な養殖地として知られていますね。スーパーマーケットなどに並んでいるのも、ほぼこの真牡蠣です。
真牡蠣の旬は秋から春先。この時期は栄養をたっぷりと蓄えぷりぷりと太って美味しくなります。しかし、産卵期にあたる夏は、産卵に栄養を使い果たして痩せてしまうため、味が落ちてしまいます。
このように、牡蠣の旬はRが付く月といわれる所以は、私達が口にする機会の多い真牡蠣のベストシーズンが秋〜春先であるからなのです。
逆に、夏が旬なのが岩牡蠣(いわがき)。
岩牡蠣も夏に産卵期を迎えますが、真牡蠣のように一気に産卵せず、少しずつ産卵するため、身が痩せ細ることなく夏でも美味しく楽しめます。
また、岩牡蠣は真牡蠣のように養殖が盛んでなく、天然物が大部分。収穫は海女さんが海にもぐって行います。海女さんが海にもぐれない時期には市場に出回らないため、岩牡蠣の旬は夏となるわけです。
岩牡蠣の魅力はその大きさと濃厚な味わい。また、天然物が多いため、養殖できる真牡蠣に比べると値段がぐっと高いのも特徴です。
なるほど、冬が旬と思っていた牡蠣ですが、種類を選べば一年中美味しく楽しめるんですね。
◇牡蠣の栄養価
岩などにくっついて育ち動くことがない牡蠣は、筋肉組織が少なくその大部分が内蔵。そこに沢山のビタミンやミネラルなどの栄養を蓄えています。
ここでは、牡蠣に含まれる代表的な栄養素を見てみましょう。
・亜鉛
亜鉛はたんぱく質の合成にかかわる酵素の材料となるミネラルです。
細胞を作り出す働きにかかわるので、胎児の発育や子供の成長に非常に重量なだけでなく、大人の場合も髪や爪やお肌など、日々新しい細胞が生まれることで作られる器官の健康維持のために必要不可欠な物質です。
例えば、亜鉛不足になると味わいを感じなくなるのは、味を感じるための舌の味蕾(みらい)細胞は約4週間という早いサイクルで入れ替わり、次々新しい細胞を作りだす必要があるため。
また、亜鉛は体内での精子の製造や男性ホルモン(テストステロン)の生成に深くかかわっているため、亜鉛不足は男性の性機能の低下をもたらすと言われています。
・鉄とビタミンB12
赤血球に含まれる色素で、全身に酸素を運ぶために重要な役割を果たしているのがヘモグロビン。そのヘモグロビンの材料になっているのが鉄です。
鉄が不足すると貧血となり、全身の組織に酸素が十分に行き渡らなくなってしまうため、頭痛、動悸・息切れや、めまい・たちくらみ、肩こり、慢性的な体のだるさなど、さまざまな不快な症状が引き起こされます。
特に、若い女性は5人に一人が貧血と言われていますので、しっかり鉄を摂取したいですね。
ビタミンB12は、葉酸とともにヘモグロビンの生成を助けるビタミンなので、こちらも鉄と共に貧血対策にとても重要です。また、ビタミンB12神経細胞の表面の膜を作ることにも関係しており、脳や神経の働きを正常に保つためにも大切なビタミンです。
牡蠣に含まれる鉄はヘム鉄と呼ばれる人間の体内存在するのと同じタイプの鉄で消化吸収が良いのが特徴です。若い女性や妊娠期のプレママ、良く運動する方は積極的に摂取したいですね!
また、鉄はビタミンCと一緒に摂取することで吸収効率がアップします。
生ガキにレモンを絞って食べるのは美味しいだけでなく、健康面でも理にかなっているんですね。
・タウリン
タウリンはイカ・タコ、貝類や魚類の血合いに多く含まれるアミノ酸の一種。ヒトの体には、対外の環境に左右されず、体温や血圧など体の働きを一定に保つ恒常性(ホメオスタシス)がありますが、タウリンはこの恒常性作用を助ける成分です。
また、肝細胞の再生を促して肝臓の機能を高たり解毒能力を強化する作用があります。肝機能を強化して疲れが取れるということで、最近ではよく栄養ドリンクにも配合されていますね。他には、傷ついた網膜を修復して視力の衰えを防ぐ効果もあるので、目薬の成分としても使用されています。
タウリンは水溶性のアミノ酸のため、効果的な摂取のためには、煮汁やスープごと食べられるような調理法がよいでしょう。
◇牡蠣にはシャブリ?ワインにぴったりの食べ方は?
体にいい成分が沢山含まれている牡蠣。
では、次に牡蠣をおいしく食べるためのワインを考えてみましょう。
生牡蠣に合わせるなら、白ワインのシャブリが最高!とよく言われますよね。なぜでしょうか?
貝類の美味しさの元になっている主要な成分は有機酸のコハク酸。しかし、コハク酸は温かい温度でないと旨味が感じにくい温旨系有機酸(おんしけいゆうきさん)のため、冷たい温度で食べる生牡蠣ではコハク酸の味わいが生かされません。
しかし、生牡蠣にレモンを絞ると、レモンに含まれる、冷たい温度で美味しさを感じる冷旨系有機酸(れいしけいゆうきさん)であるクエン酸が、牡蠣に含まれるコクのもととなる物質であるグリコーゲンを引き立てて美味しさを引き出します。
また、白ワインには同じく冷旨系有機酸のリンゴ酸と酒石酸が豊富に含まれていますが、レモンのクエン酸ととも、このリンゴ酸と酒石酸がさらに牡蠣の味わいを引き出し、美味しさのハーモニーを奏でるわけです。
選ぶ際はシャープな酸味のあるワインを選ぶのが良いでしょう。
焼き牡蠣やグリル、鍋物など温かい温度で食べる場合は、温かい温度で美味しさが感じられる乳酸を多く含む熟成白ワインや赤ワインを合わせるのが良いでしょう。
◇ノンアルコールワインに合わせるなら
健康上の理由でお酒を避けているけれど、美味しい牡蠣とのマリアージュを楽しみたいという方には、白のノンアルコール・スティルワイン”ヴィンテンス シャルドネ”をおすすめします。
乳酸が感じられるややまろやかな味わいのノンアルコール・ワインなので、バター焼きやグラタンなど乳製品を使った牡蠣料理によく合いそうです。
醤油や味噌を使った牡蠣料理であれば、赤のノンアルコール・スティルワイン”ヴィンテンス メルロ”を合わせてみてくださいね!