ワインのベストパートナー、チーズ基本のキ
ワインやノンアルコール・ワインをたしなむ人なら、みんな大好きなのがチ
ーズ。
ワインとチーズは、お互いを引き立てあうベストパートナーですね!
今日は、チーズは好きだけど詳しいことはあまり知らないという方向けに、チーズの基本を解説いたします。
◇チーズの始まりは?
バターと並び、家畜のミルクを使った保存食として太古の時代より作られて
きたチーズ。その歴史の始まりは、意外なことにヨーロッパではなくアジア周辺諸国という説が濃厚です。
紀元前のアラビアの民話には、「砂漠を旅する商人が、羊の胃袋を干して作った水筒に入れていたミルクを飲もうとすると、液体と白いかたまりに分かれており、そのかたまりを食べてみたところとても美味だった」という話が残されています。
羊の胃袋で作った水筒に付着していた酵素によりミルクが固まりチーズになったという偶然が、チーズの製法の発見の原型だったのでしょうね。
紀元前3500年頃の古代エジプトの壁画や、メソポタミア神殿の装飾画にはすでにチーズの製造方法が描かれているほか、また、紀元前3000年頃にインドで書かれた神々への賛歌集リグ・ヴェーダにもチーズが登場するなど、チーズはとても古い歴史をもつ食べ物であることが分かります。
こうしてアジア地域で生まれたチーズですが、歴史が下るとともにトルコ・ギリシャを経てローマ帝国に伝わり、現在のようにヨーロッパ全土へ普及して各地で様々なチーズが作られるようになりました。
ちなみに、日本で最初にチーズが登場したのは古く、なんと飛鳥時代。
6世紀ごろに中国や朝鮮からやってきた渡来人によって酪農が伝えられ、蘇(そ)や醍醐(だいご)と呼ばれるチーズの一種が製造されて朝廷に献上されました。平安時代には、不老長寿や強壮に効果がある食品として貴族たちに珍重されていたようです。
◇ナチュラルチーズとプロセスチーズ
まず、チーズはナチュラルチーズとプロセスチーズに2分されます。
ナチュラルチーズはミルクから直接作られるチーズで、熟成度や硬さによって様々な種類があり、バラエティに富んだ味わいが楽しめるのが特徴です。(後でさらに詳しく解説します)
それに対して、プロセスチーズはナチュラルチーズを原料に、加熱・殺菌し固めて工業的に作られたチーズ。菌が生きているナチュラルチーズに比べて長期保存が可能で品質も安定していますが、味わいは際立った個性に欠けます。スーパーでよく見る6Pチーズやスライスチーズ、キャンディーチーズはこのプロセスチーズの仲間です。
◇チーズの醍醐味!ナチュラルチーズを学ぼう
チーズ好きなら詳しく知りたいのはやはりナチュラルチーズ。
牛や山羊、羊などのミルクを、乳酸菌やレンネットと呼ばれる酵素で凝固させ、水分を取り除き、菌やカビによって発酵・熟成させて作ります。
ナチュラルチーズは製法・原料や生産地により色々な種類があり、大きさや形、熟成させる菌の種類や熟成度合いによって異なる味わいが楽しめる、いわば生きている食品。チーズの醍醐味はやはりこのナチュラルチーズにあります。
ナチュラルチーズはタイプによって大きく7種に大別されますので、それぞれを見て行きましょう。
1.フレッシュチーズ
原料のミルクに乳酸菌やレンネットを加えて凝固させ脱水しただけもので熟成させずに味わうのがフレッシュチーズ。あっさりとクセのない味わいでミルクの味わいが強く感じられるのが特徴です。
ピッツア・マルゲリータに使うモツァレラ(イタリア)や、ティラミスでおなじみのマスカルポーネ(イタリア)、クリームチーズ、カッテージチーズなどが代表的です。そのまま食べるほか、お菓子作りにも使われることが多いチーズです。
ワインを合わせるなら、ミルキーな味わいを際立たせてくれるスパークリングワインが良いでしょう。
2.白カビチーズ
まろやかなでクセのない味わいと、とろりとソフト&もっちりした食感が特徴の白カビチーズ。チーズ表面に植え付けた白カビが、チーズの中のたんぱく質をアミノ酸に変えながら外から内にむけて熟成していくため、一つのチーズの中でも異なる食感や味わいが楽しめます。代表的なものには、有名なカマンベールやブリ―があります。
ワインを合わせるなら断然赤ワインがよいでしょう。
3.青カビチーズ
チーズの内部に青カビを植え付け熟成するのが青カビチーズ。青カビが乳脂肪を分解することで発生する独特の香りとピリッとした刺激、そして強い塩味が特徴です。ワインやクラッカーと共にそのまま食べても良し、パスタやリゾットなどの料理に使っても風味がありとても美味しいチーズです。代表的な青カビチーズとしては、世界三大ブルーチーズと呼ばれるゴルゴンゾーラ(イタリア)、ロックフォール(フランス)、スティルトン(イギリス)があります。
強い味わいのチーズなので、ワインを合わせるならコクや強さがあるものがベター。特に干しブドウから作った濃厚な赤ワイン・レチョートや、貴腐ワインの相性は抜群です。
4.ウオッシュチーズ
表面についている菌で熟成させるタイプのチーズですが、匂いが強烈なため、数日ごとに表面を塩水、または、ワインやブランデーなどのお酒で洗いながら熟成させるためウオッシュチーズと呼ばれます。熟成に由来する強い香りがあるため好き好きが分かれるかもしれません。
味わい自体はクリーミーでとてもマイルドなので、フレッシュフルーツに合わせたり、セロリなどの野菜をディップして食べても美味です。
代表的なウオッシュチーズでは、エポワス(フランス・ブルゴーニュ地方)、ラングル(フランス・シャンパーニュ地方)、マンステール(フランス・アルザス地方)などが有名。
ワインを合わせるなら赤ワインが一般的に良いと言われますが、エポワスならブルゴーニュのピノノワール、ラングルならシャンパーニュ、マンステールなら白ワインのゲヴュルツトラミネールなど、その地方のワインと合わせるなどその地方のワインと組み合わせてみてもよさそうですね。
5.シェーブル
山羊のミルクから作られるチーズがシェーブル。その歴史は牛乳でつくるチーズより古いと言われています。クセのある味わいと独特の酸味が特徴で、通好みのチーズです。熟成の邪魔になるカビの発生を防ぐため周りに木炭粉をまぶした黒いタイプや、白カビで熟成させるものもあります。
フレッシュなものは果物やジャムと合わせて食べると美味しいです。焼いたりソースにしても美味。
フランスのロワール川流域に代表的生産地が多く、ヴァランセ、クロタン、サント・モール・ド・トゥレーヌなどが代表的なシェーブルとして知られています。
ワインを合わせるなら白のソーヴィニョンブランや、ロゼワインがよいでしょう。
6.セミハードチーズ
セミハードチーズは、原料のミルクを凝固させたあと、脱水工程で高い圧力でプレスして水分量を38~46%まで減らした保存性の高いチーズ。熟成期間が長いため食べごろが持続するのが特徴で、うまみが強くクセのない味わいです。
代表的なものは、ゴーダ(オランダ)、マリボー(デンマーク)、フォンティーナ(イタリア)、サンネクテール(フランス)など。いい意味で個性の少ないチーズで他の食材との相性が良いので、料理やサンドイッチの具として使うほか、おつまみとして食べるのにも最適です。
7.ハードチーズ
原料のミルクを凝固させたあと、脱水工程で加熱し、かつ強い圧力でプレスして水分量を38%以下に減らしたのがハードチーズです。セミハードチーズよりも硬く、さらに濃厚な味わいが楽しめます。また、セミハードチーズ同様、熟成期間も長いため味の変化が少なく、食べごろが長期間続きます。
ちなみに、マンガなどに出てくる穴の開いたチーズはこのハードチーズ。熟成時に発生する炭酸ガスにより丸い穴が作られます。
食べる時はスライサーを使って薄くスライスするとチーズの旨みがより感じられて美味しく食べられます。また、ピザやグラタンなどの料理に使ってもとても美味しいです。
代表的なものは、コンテ(フランス)、ミモレット(フランス)、チェダー(イギリス)、チーズフォンデュに使うことで知られるエメンタール(スイス)、アルプスの少女ハイジで有名なとろけるチーズ・ラクレット(スイス)などがあります。
ちなみに、更に水分が少ない(32%以下)パルミジャーノ・レッジャーノなどのチーズはエキストラハードチーズと呼ばれます。
食べると感じるジャリジャリとした結晶は熟成工程で生じるアミノ酸。旨みの塊のようなチーズなので、すりおろして料理にかけてアクセントにしたり、リゾッドに混ぜたりと料理に使われることが多いチーズです。
セミハードチーズやハードチーズにワインを合わせるなら、樽熟成のシャルドネなど、ふくよかなでコクのある白ワインがよいでしょう。熟成した赤ワインも良く合います。
◇ノンアルコールワインに合うチーズは?
ワインを蒸留してアルコールを除いて作ったノンアルコールワインは、まろやかで優しい味わいが特徴。
チーズも個性の強いものより、マイルドな味わいのものが良く合います。
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