身も心もあたたまる、ほっこり鍋料理大研究
いよいよ年の瀬も押し迫り、寒さがしみる季節。こんな時には、あったかーい食べ物をほおばると、心も体もほっとした気分になりますよね。
あったかい料理の代表格といえば、思い浮かぶのは鍋料理。
今回は、鍋料理の歴史、今どきの人気鍋など、日本各地のご当地鍋など、鍋に関する様々な情報を調べてみました。
◇「鍋」の由来は?
鍋料理の「鍋」という漢字の元々の語源は、さかなを表す「肴」と土器のかめを表す「瓮」からなる「肴瓮(なへ)」という言葉。食物を土器に入れて加熱していたことから、その名が付きました。
時代が下り、「堝」という漢字があてられるようになりましたが、その後、金属器の登場により、土製のなべを「堝」、金属のなべを現在の金偏を使う「鍋」と書き分けるようになります。
鋳造の技術が発展し、金属製の鍋が主流になって以降は「鍋」の表記に取って代わられました。
◇鍋料理の始まりは?
調理のための熱源がかまどや囲炉裏に限られていた時代は、大鍋で調理をして、食べるときは鍋から取り分けて各人に配膳するのが一般的でした。
また、日本では鎌倉時代頃より身分制度の影響で、家族皆で食卓を囲むのではなく、一人ずつが各自のお膳で食べる習慣ができたため、鍋を囲んでみんなでつつくこともありませんでした。
現在のように、熱源を用意してそこで調理をしながら食べるスタイルが始めて登場したのは江戸時代。
当時の調理は薪を燃やして火をおこすかまどや囲炉裏で行われていました。しかし、煤や煙のでる囲炉裏が嫌われた江戸の町屋では、煙の出ない木炭を使った七輪や火鉢が使われるようになり、それに伴い、座敷に熱源を持ち出して調理して食べる「小鍋仕立て」というスタイルが生まれました。これが現在の鍋料理のはしりとなります。
この時期に、現在のおでんのルーツである田楽を出す飯茶や、湯豆腐店、アンコウ鍋店など様々な鍋料理店がオープンし庶民の人気を集めました。
その後、鍋料理の人気を決定的にしたのが明治時代の牛鍋の流行。
仏教の伝来以来、長らく日本では肉食が禁じられてきましたが、明治政府の富国強兵政策により肉食が奨励されるようになました。
特に、牛肉を食べることは文明開化の象徴と考えられて、牛肉を味噌で煮込んだ牛鍋は爆発的な人気をよび、鍋料理が一般庶民に身近な存在になったのです。
しかし、火をおこすには薪や炭が必要だった時代、なかなか家庭に鍋料理が普及するまでには至りませんでした。
鍋料理が普及しはじめるのは戦後のガスの登場以降。ただし、当時はガスの元栓からホースをのばして食卓にガスコンロを設置しなければいけなかったため、長いホースが必要だったり、ホースを足に引っ掛けて転ぶ可能性など安全面の問題がありました。
そこに登場したのがガスカセットコンロ。1969年の発売当時はあまり話題にはならなかったものの、デパートやスーパーで販売が開始されることでじわじわと認知度を高め、現在では年間70万台以上を売るヒット商品となりました。
それに伴い、現在のような家庭で食べる鍋の文化が本格的に定着したのです。
◇イマドキの人気鍋は?
食材を切って煮るだけ。手間をかけずにできるのに、様々な食材が取れてヘルシー。手抜きに見えないのに見栄えもよく、しかも洗い物も少なくて済むという、いいことづくめの鍋料理は、ぜひ家庭でもどんどん作りたいもの。
2018年度の調査によると、いまどきの人気の鍋料理のランキングはこのようになるそうです。
1位 キムチ鍋
唐辛子たっぷりのキムチが入ったピリ辛のキムチ鍋は冬場のど定番。
締めの雑炊には、チーズをたっぷり入れるのがオススメです!
2位 豆乳鍋
たっぷりの野菜と豆腐がヘルシーな豆乳鍋。豆乳鍋が食卓に上るようになったのは2000年頃の豆乳ブームがきっかけのようです。
ミルキーで優しい口当たりだけでなく、大豆に含まれる女性ホルモンと似た働きをする物質・イソフラボンが豊富に取れるということで、女性を中心に人気を集めています。
3位 寄せ鍋
ダシを入れた鍋に、やさ、魚貝、肉など様々な材料を入れて作るのが寄せ鍋。地方ごとに特色あるダシや異なる具材が使用され、沢山のバリエーションがある鍋です。
細かいレシピやルールがないぶん、自分の好きな食材を入れて自由に楽しんでみたいですね!
4位 すき焼き
日本が世界に誇る鍋料理、Sukiyaki。名前の由来はその昔、使い古した農具の鋤(すき)を熱して鳥や魚を焼いて食べたことに由来すると言われています。
5位 もつ鍋
キャベツとニラ、大量のニンニクにもつを使って作られるもつ鍋はスタミナたっぷり。
もともとは博多の郷土料理ですが、1992年に東京に博多風のもつ鍋店が開店したことから人気に火が付き、「もつ鍋」はその年の流行語大賞を受賞するほどのブームを呼びました。
6位 ちゃんこ鍋
お相撲さんが食べる鍋として知られるちゃんこ鍋。
もともと「ちゃんこ」は相撲部屋での食事全般を指す言葉ですが、相撲部屋では一度に沢山調理できる鍋料理が作られることが多いことから、ちゃんこといえばちゃんこ鍋を示すようになったそうです。
7位 水炊き
関西から九州にかけての伝統的な鍋である水炊き。あらかじめ味のついた汁で煮込むのではなく、水に材料を入れて、具材から出る出汁で味をつける調理法を言います。
有名な博多風は骨付き鶏肉とキャベツが使われ、ガラスープの白濁した汁と〆の麺(ちゃんぽんやそうめん)が特徴です。
関西風は昆布の出汁を使用、肉は鶏がメインですが豚肉が使用されることもあり、また、野菜には白菜が使われ〆は雑炊と、地域により同じ名前でもレシピが異なる料理です。
8位 鶏鍋
水炊きの鳥を使うものが鶏鍋と言われるようです。
9位 しゃぶしゃぶ
発祥が1940年代と近代なのがしゃぶしゃぶ。北京の火鍋料理の「涮羊肉(シュワンヤンロウ)を、京都の料理屋が牛肉を使い日本風にアレンジし、牛肉の水炊きとして売り出したのが始まりです。
しゃぶしゃぶという名前は、その後大阪の料理屋によって発案され、なんと商標登録もされているとのこと。ちなみにしゃぶ鍋の真ん中の穴は、七輪で調理していた時代に炭を投入するための穴だったそうです。
10位 トマト鍋
トマト鍋の登場は2000年ごろ。豆乳鍋などと共に新しいスタイルの鍋として注目されるようになり、2003年にはトマトケチャップメーカーが「トマト鍋の素」を発売するなどして、徐々に日本人の食卓に浸透。トマトソースをベースにした洋風の味わいが若い主婦や子供たちに人気を呼んでいます。
〆にパスタを入れたり、ご飯とチーズを入れてリゾット風にしたりと、洋風に楽しめる鍋料理です。
◇日本のご当地鍋いろいろ
流行りのお鍋もいいけど、南北に長い日本では、その土地ならではの食材を使ったご当地鍋が沢山あります。各地の伝統的なお鍋をピックアップしてみました。
鍋ランキングと共に、今日の夕ご飯のメニューの参考にいかがでしょうか?
北海道・・・石狩鍋
青森県・・・せんべい汁
秋田県・・・きりたんぽ鍋
山形県・・・芋煮
宮城県・・・牡蠣鍋
新潟県・・・のっぺい汁
茨城県・・・アンコウ鍋
東京都・・・ちゃんこ鍋
山梨県・・・ほうとう
静岡県・・・ぼたん(いのしし)鍋
富山県・・・ぶりしゃぶ
石川県・・・たらちり
福井県:::カニちり
京都府・・・湯豆腐
大阪府・・・はりはり鍋
広島県・・・牡蠣の土手鍋
山口県・・・ふぐちり
福岡県・・・もつ鍋、水炊き