秋の味覚、さつまいもを科学する!
秋を代表する野菜といえば、さつまいも!
その昔、落葉した葉っぱを燃やすたき火で焼いていた光景を懐かしく思い出す方もいらっしゃると思います。
今日はさつまいもの栄養価や効能、ワインに合うさつまいもレシピ、そして、最高に美味しい焼き芋の焼き方を科学的に追及してみました!
◇さつまいもの基礎知識と栄養価
さつまいもはヒルガオ科の植物で、私たちが食べているいわゆる「さつまいも」は肥大した根っこの部分となります。
薩摩とつきますが、原産はなんと南米・ペルーの熱帯地方。
16世紀ごろにスペイン人・ポルトガル人を通じてまず東南アジアにもたらされたさつまいもは、中国を経て琉球に伝わり、その後九州の薩摩国(今の鹿児島)に伝わり盛んに栽培されたことから、現在では「さつまいも」と呼ばれ愛されています。
暑い地方の原産で、元々九州でさかんに作られていたさつまいもですが、その栽培が関東へ広がったのは江戸時代中期。
当時、八代将軍である徳川吉宗は、度重なる飢饉によるコメ不足に悩まされていました。
そんな時に、吉宗は薩摩芋の栽培方法を記した「蕃藷考」(ばんしょこう)という書物をまとめた学者・青木昆陽を紹介されます。
干ばつに強く、やせた土地でも良く育ち、収穫量も多いさつまいもは飢饉に悩んでいた江戸幕府にとっていわば救世主。吉宗はすぐさま昆陽にさつまいもの試験栽培を命じました。小石川植物園や千葉でのさつまいも栽培は成功をおさめ、その後江戸に普及することになります。
その後、すっかり江戸に定着したさつまいも。なんと、江戸末期には庶民のおやつの定番として焼き芋ブームが到来するほどの人気となりました。
お砂糖や甘いお菓子が高級品だった江戸時代、甘いものを求める人々の心を満たしていたのがさつまいもだったんですね!
現在では、鹿児島、千葉、茨城が主産地です。旬は10月~1月頃となります。
◇さつまいもの栄養価
・食物繊維
さつまいもの栄養価といえば、まず思いつくのが食物繊維。
いも類の中で最も食物繊維の含有量が高いのがさつまいも。100グラムあたり2.3グラムもの食物繊維を含んでいます。
食物繊維の摂取により、コレステロールが体内に吸収されるのを防いだり、ナトリウムを吸着して血圧を下げたり、また、大腸の蠕動運動を刺激し便秘を改善する期待ができます。
また、さつまいもを切った時にぷつぷつと出てくる白い汁はヤラピンと呼ばれる物質。ヤラピンには緩下作用があるため、食物繊維との相乗効果が期待できそうですね!
・ビタミンC
抗酸化作用があり、風邪の予防や美肌効果が高いと言われるビタミンC.
いも類の中で、さつまいものビタミンC含有量はトップクラスで、なんと、りんごと比較しても約7倍のビタミンCを含有しています。
また、ビタミンCは熱に弱く加熱すると溶け出す性質があるのですが、さつまいもに含まれるビタミンCはでんぷんに包まれているため熱に強いのが特徴です。
調理した後も豊富なビタミンCが摂取できるのが嬉しいですね!
・ポリフェノール
さつまいもの皮の部分に含まれるのが、アントシアニンやクロロゲン酸といったポリフェノール類。
ポリフェノールは高い抗酸化作用を持ち、動脈硬化や高血圧、がんなどの予防や、アンチエイジングの効果が期待できると言われます。
なお、アントシアニンが存在するのは紫色の部分。中まで紫の紫芋なら、更に多くのアントシアニンが摂取できますよ。
◇ワインにあうさつまいもレシピは?
一見ワインと合うイメージがないさつまいもですが、オリーブオイルをかけてローズマリーと一緒に焼くと、白ワインととっても合うおつまみになります。
作り方は2-3センチの大きさに切ったさつまいも中サイズ1本に対してオリーブオイル大さじ1、ローズマリー小さじ1/2、あらびき黒胡椒少々、ナツメグ粉末少々をよくまぶします。
鉄板にオーブンシートを敷いた上にマリネしたさつまいもを並べ、200度に熱したオーブンに入れ、30分ほど加熱して出来上がり。仕上がり際にグリル機能を使って表面に焼き色を付けるとよいでしょう。
また、グラニュー糖を少し加え、レモンスライスと白ワインでコトコトと煮ると、さつまいものワイン煮のできあがり。冷やして食べえてもても美味しいです。
更にリンゴやレーズンを加えると、リッチなデザートとしても楽しめます!
いずれのレシピも、白ワインと相性が良いでしょう。
また、当店のノンアルコール・ワインなら、ノンアルコールのスティルワイン”ヴィンテンス・シャルドネ(白)”やノンアルコール・スパークリングワイン”デュク・ドゥ・モンターニュ”と合わせると良いですね!
◇究極の焼き芋を作ってみよう!
さつまいもといえば、やっぱり焼き芋。
パカッと割ると黄金色、甘くてホカホカの焼き芋は秋から冬の風物詩です。
しかし、生のさつまいもを食べても、全く甘くないってご存知でしょうか?
焼き芋が甘くなるのは、さつまいもに含まれるデンプン(デンプン自体に甘みはありません)が、同じくさつまいも内に含まれる酵素βアミラーゼによって、甘〜い麦芽糖に分解されるから。
ちなみに、このβアミラーゼ、身近なところでは、ヒトの唾液に含まれています。
ご飯をよく噛んで食べるとだんだん甘みを感じてくるのは、米の中のデンプンが唾液内のβアミラーゼで分解されて麦芽糖に変わるからなんです。
βアミラーゼが一番よく働く温度は65-80度程度。85度を越えると、失活して酵素としての機能を失います。
すなわち、さつまいもを調理する際は、65-80度の温度帯を長く保ってデンプンを十分に糖化することで、甘〜い焼き芋を楽しめるのです。
さて、でばどのように調理すればよいのでしょうか?
家庭で焼き芋を作る際に最もおすすめな方法は、オーブンでの調理です。
ネットで様々な美味しい焼き芋のレシピが見つかりますが、ここでは低温と高温を組み合わせた焼き方をご紹介します。
【レシピ 作ってみよう!究極の焼き芋】
材料 : さつまいも 1本
ホクホク系が好きなら鳴門金時や紅あずま、
ねっとり系の味わいが好みなら、安納芋や紅はるか、シルクスイートなどをおすすめします。
なお、さつまいもの収穫シーズンは9-11月ですが、焼き芋に適したいもは、収穫から少なくとも一月ほど経過したいも。
収穫後、いもの中に含まれるデンプンが酵素によって糖化するので、良い状態で保管されたいもの方が、新しいいもよりも甘いのです。
さつまいもを購入したら、新聞紙に包んで室内に寝かせてみましょう。なお、さつまいもは低温が苦手なので、冷蔵庫は絶対NG!10-15度ほどでの保管がベストです!
(作り方)
・芋を洗って、予熱のないオーブンに入れる。
いもの端は切らなくてok。アルミホイル巻きは基本不要ですが、しっとりした皮がお好みなら巻きましょう。
・110度にセットして予熱開始。予熱終了したら、そこから110度で60分加熱。
・60分が終了したら、180度に温度を再セット、そこから30分焼く。
・焼き上がったいもは、すぐに食べず、20分くらい休ませると味がなじみます。