2015/12/11 posted

「おすすめのワインはどれですか？」ワイン専門店で上手にワインを買う方法（ワインの選び方）

楽しむ・学ぶ

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ワインを買おう！　と思ったとき、さて何を買ったらいいかと困ったことはありませんか。

誰かのおすすめとか、雑誌で見た銘柄とか、目指すワインがあるならいいのですが、ただなんとなくワインが飲みたいなと買いに行っても、どう選んでいいかわかりません。

そんなとき、頼りになるのはワインショップの人。中でも、ワインの小売を職業とした人の資格・ワインアドバイザーを取得している人なら知識も豊富で、相談すればきっと好みや必要に応じたワインを提案してくれるでしょう。

それにしても、何をどう伝えたら選んでもらいやすいのか、長野県下諏訪町の「リカーハウスながさき」で日々お客さんのワイン選びのお手伝いをしているワインアドバイザーの長崎美知子さんに伺いました。

情報を教えて！

「なんでもいいから、ワインがほしいと思った理由や、飲む人、どんな場面で飲むのか、といった情報を教えて」

長崎さんがいちばん困るのが、突然「おいしいワインください。」「プレゼントしたいんですが、何がいいでしょうか？」と聞かれることです。

なにしろ全世界にはワインの銘柄がどれぐらいあるのかは誰も知らないぐらいたくさんで、何十万種類とも、百万種類を超えるとも言われています。しかもそれがヴィンテージ（醸造年代）によっても違うとなったら、1本のワインとの出会いも運命のようなものです。その運命の糸をたぐり寄せるのが、情報なわけです。

とはいっても、難しいワイン用語を知らなくたっていいのです。

「『今夜は旦那とふたりでおでんなんだけど、おすすめのワインある？』って聞かれたら、家のみなら1000円台ぐらいかな、おでんだったらピノノワールがいいかな、って候補がいくつか思いつくわけ。もっと深く、おでんに入っているのは牛スジなのかタコなのか、って教えてもらえればもっと絞れるけど、昨今はあまり詮索すると不審がられちゃうこともあるからね」

と笑うけれど、「ぴったりのワインを教えてくれるなら、そんな情報はいくらでも伝えます」というお客さんがほとんどなのでは？

長崎さんにとっても、少しずつお客様がどんなワインを求めているのか、求めにいちばんふさわしいワインは何なのか、ゆっくり話しながら持っていき、最後に「これでお願いします」と言われるまでの会話がとてもたいせつなのです。

POPに書かれた一言に美知子さんのワインへの思いが込められている

自分用のワインなら好みやシチュエーションを

自分で飲むためのワインを買うときって、かえってなにも決めずに漠然と選んでいること、多いですよね。

「赤もいいな。スパークリングもおいしそうだな。甘口と辛口どっちがいいかな。高級ワインは買えないけど、たまにはちょっとだけ奮発してもいいかな……」なんて。

でも、ワインはそれだけグラスに注いでじっと飲むってあまりないこと。買って帰ったワインを自分が飲んでいる近未来を想像してみましょう。

何を食べているかな。
誰といっしょかな。
自分の家？　それとも屋外とか？

「私の店に来たら、30分おしゃべりしてお酒を買っていってと言っているぐらいで、それがイヤな人でなければいろいろ話をしながら絞っていくんだけど、どこの店でもそうできるかっていうとそんなことないからね。だいたいこの4つを伝えれば、いくつかおすすめを出してきてくれると思うわ」

○予算……1本いくら、2種類でいくら。なければ買いやすいのをちょっとがんばるのと2種類の候補をとか
○用途……ひとり飲み、家族で、友達の家に持って行く。何を食べる。普段飲み、お祝い、パーティーなど
○希望……赤・白・ロゼ、スパークリング。輸入物か国産か。軽いのとか渋みの少ないのとか。コルクを抜くのが面倒なのでスクリューキャップがいいとか

パーティーのように大勢で飲みたいときには、何本にするかも場合によって違います。普通は1本で8人分と計算しますが、少しずつ種類を飲みたいなら約65mlずつ12人で1本にするとか。バーベキューのようにワイワイ飲むなら、1500mlの大きなボトルでおすすめのもあるそうです。

アルコールが飲めない人いるとか、ドライバーがいる場合には、アルコールワインとノンアルコールワインをセットにするのも気が利いています。メンバーや飲み方次第で、いろいろなチョイスができますね。

ワイン初心者なら、国産ワインならラベルを見ると日本語でいろいろ書いてあって、それを読みながら話題にするのも盛り上がります。

プレゼント用なら相手の方のことを考えて

大人の雰囲気でおしゃれなワインはお使い物にも便利だけれど、センスが問われそうで、選ぶ方としてはハードルの高いプレゼントでもあります。

「相手の好みやライフスタイル、人物像がわかっているなら、『こういう方に贈りたい』と言ってもらえるとイメージしやすいわね。また大事なのはなんのプレゼントかということ。結婚とか昇進とかのお祝い事だったら、赤・白1本ずつを1箱にしてラッピング、リボンというのが定番。でも、スパークリングの白とロゼをセットにするのもおしゃれだし、ワイン好きでよくご存じの相手なら1本にして、普段自分ではなかなか手が出ないようなものを選んだ方が喜ばれるかもしれない。音楽会だと花束を渡すことが多いけれど、最近はすぐに枯れてしまわないワインもよく選ばれていますよ」

プレゼントのときに押さえておきたいポイントは、

○予算……目的と、自分と先方との関係性から導き出せる予算
○用途……手土産、誕生日・新築・結婚・昇進などのお祝い、ご挨拶など
○希望……色、産地、量
○包装……華やかにするのか、外見より中身で勝負か

「プレゼントだと、包装も大切な場合がありますね。うちの店では箱も2種類用意して、私がラッピングを研究したりしているけれど、いつもお客さんには『箱は飲めませんから』って言っているの。昔と違って中身重視になっているから。でも、ビンの保護とプレゼントらしいワクワクのためにはきれいにしてお渡ししたいですよね」

ワイン選びのポイントを押さえておけば、お店に行ったときに思いがうまく伝わらなくて納得いかない買い物をしてしまった、なんていうことなくハッピーなワインとの出会いが期待できますね。

それともうひとつ、こうやって相談しながらワイン選びができるようなお店を普段から探して懇意になっておくことも、ワインの楽しみを広げるコツだといえます。