パーティーの手土産にはワインがおしゃれ。 ワインエキスパート本間朋子の【ワインはじめてアドバイス】
「華やぎのお酒」、スパークリングワイン
クリスマスや忘年会、新年会など、パーティーシーズンがやってきました。街もイルミネーションに彩られて、心躍る季節ですね。
今年は、お呼ばれのパーティーにワインを持って出かけてみませんか? 今回は、パーティーにぴったりのスパークリングワインについてご紹介します。
ワイン初心者にとっても、「パーティーワイン=シャンパン」というイメージがあるのではないでしょうか。
「シャンパン」とは、フランス北部に位置するシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワイン(発泡性のワイン)のことです。日本では「シャンパン」と呼ばれますが、正式な呼称は「シャンパーニュ」です。繊細な泡立ちとエレガントな飲み口で、フランスでも世界でも高級スパークリングワインの代表ですね。
シャンパーニュの造り方は、フランスのワイン法によって細かく規定されています。例えば、ブドウの品種はシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの3種だけ、アルコール度数は11度以上――などです。
なかでも重要なのは「瓶内二次発酵」をすること。瓶内二次発酵とは、「シャンパーニュ方式」や「トラディショナル方式」とも呼ばれるスパークリングワインの伝統的な造り方です。
ごく簡単に言うと、はじめに泡のない普通のワインを造って瓶に入れ、糖分と酵母を加えて栓をします。こうして2回目の発酵を瓶の中で行い、炭酸ガスを得る方式です。また、「滓(おり)」という、発酵後にワイン中に浮遊する細かな固形物(酵母の死がいなど)を取り除く「滓引き」という作業も、1本ずつ瓶ごとに行うのも特徴です。
ちなみに、このシャンパーニュの造り方の基礎を築いたのは、シャンパーニュ地方にあるオーヴィレール村の修道士ドン・ペリニヨンです。そう!! まさに超高級ワインの代名詞的なブランド、いわゆる“ドンペリ”(ドン・ペリニヨン)の創始者です。
ドン・ペリニヨンがいたオーヴィレール寺院はぶどう畑に囲まれたところにある
そんな素敵なシャンパーニュを、ぜひパーティーに!……と言いたいところですが、手間ひまがかかり、最も本格的でブランド力のあるスパークリングワインなだけに、やっぱりちょっとお値段が高めなのも事実。
そこで、もう少しカジュアルなスパークリングがいいな、という人におすすめなのが、スペインの「CAVA(カバ)」。カバは、スペインのワイン法で造り方が規定されているスパークリングワインですが、1872年にフランスのシャンパーニュを見習って生産されるようになったため、シャンパーニュと同じく瓶内二次発酵で造られます。
ブドウの品種はマカベオ、チャッレロ、パレリャーダなど、スペイン固有のブドウが使われますので、シャンパーニュとはまたひと味違ったおいしさが楽しめます。
スペインは、数年前の経済危機によって中小のワイン生産者がヨーロッパ圏以外の市場を目指したことや、若手醸造家による個性豊かなワインがどんどん出てきていることから、世界のワイン市場でも脚光をあびている産地のひとつです。
日本でもたくさんの種類のカバが手に入りますし、ボトルデザインが斬新でパーティーにぴったりなものもありますので、ぜひお店で探してみてください。
白とロゼが選べるCAVA
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本間朋子 Profile
旅と食のライター/日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・調理師
新聞社勤務を経て、2009年に独立。おもに「食」「旅」に関する記事を雑誌や新聞、Web媒体などに執筆するほか、「食」をキーワードとした地域活性化を目的にイベントなどを企画する。「食生活ジャーナリストの会」会員、有限会社Let It Be 代表取締役。
※ワインエキスパートとは
ソムリエと同等程度の知識を持っているワイン愛好家の呼称認定資格で、日本ソムリエ協会が認定する。資格には職業により下記の3種類がある。
・ソムリエ……飲食店でのアルコールを含むサービス業従事者
・ワインアドバイザー……酒類製造、流通業従事者または教育機関の講師
・ワインエキスパート……上記以外のワイン愛好家