南アフリカ共和国のワインの特徴をまとめました
南アフリカ共和国と言えば、コーヒーやチョコレートをイメージする方もいるかもしれませんが、、高温な気候でピリッとした風味のフルボディの赤ワインとコクのある果実味たっぷりな白ワインで知られています。
2017年のワインの生産量は世界で第8位。実は、日本で一番輸入されているチリワインよりも生産量が多いのです。
そこで、今回は南アフリカのワインについての知識を分かりやすくまとめていきたいと思います。
南アフリカと言えば、ケープのワイン
南アフリカは国内5つの州でワインが生産されていますが、その9割が西ケープ州に集中しています。西ケープ州内は6つの地域に分かれて、さらに26の地区に分かれ、そこからさらにいくつもの小地区に分かれています。
西ケープ州に帯状に分布する自然の灌木植生地域フィンボスは、その珍しい植生から「ケープ植物区保護地域群」の名でユネスコの世界遺産にも登録されています。
ケープ植物区保護地域群が世界遺産に登録されたことをきっかけに、「生物多様性とワインのイニシアティブ」BWIが発足されています。
ケープの中でも、ステレンボッシュ地区は、国内「最大の栽培面積」と「最高の品質」を誇る地区で、生産量よりも品質重視のブティック。ワイナリーが多い地域です。南アフリカで唯一、栽培と醸造の学位が受けられるステレンボッシュ大学があります。
南アフリカのワインの特徴
まず、南アフリカのワインブドウ品種と言えば、シュナン・ブランです。シュナン・ブランはフランスのロワール地方以外であまり栽培されませんが、なんと南アフリカの土壌と相性が抜群で、まさに、南アフリカのトップのワイン都と言えます。爽やかな果実味があるタイプ、樽熟成しないコク味、樽熟成のあるコク味、コクのある甘口、極甘口、キャップ・クラシックと呼ばれるスパークリングタイプがあります。
辛口はエレガントで、甘口は豊満、リッチで上質なワインを味わうことができます。
南アフリカ共和国は、17世紀半ばにワイン造りが伝わり、ワインの長い歴史を持つ生産国です。ワインの生産国は新世界と旧世界という区別があります。南アフリカは新世界に区分され、新世界で最初にヨーロッパ系ブドウ品種の栽培に成功した国でもあります。
南アフリカのケープ州で、新世界初のヨーロッパ系ブドウ品種の栽培に成功しました。新世界とはニューワールドとも呼ばれ、大航海時代以降にヨーロッパ諸国が進出した南北アメリカやオセアニアなどの地域に属する、比較的新しいワイン生産国を指します。 オーストラリア、ニュージーランド、チリ、アルゼンチン、アメリカも新世界に属します。
赤ワインならシラーが有名です。温かい地域で力強さが一際増したインパクトのあるシラーは、スパイシーな黒胡椒、甘草、ラズペリー、プラムソースのアロマを感じることができます。
さらに南アフリカの固有のブドウ品種もあります。それはピノタージュです。ピノタージュは南アフリカ共和国では、4番目の規模の栽培量を誇ります。1925年にアブラハム・イツァーク・ペロルドという科学者がサンソー種とピノ・ノワールを交配させて生み出しました。アブラハム・イツァーク・ペロルドは、ピノ・ノワールのような味のワインを造ろうとしましたが、南アフリカの気候では、ピノ・ノワールは育ちませんでした。こうして、ピノタージュが南アフリカ独自のブドウとして誕生したのです。
ピノタージュは、深く濃いルビー色、果実の香り豊かで、樽熟成によって複雑でコクのある味わいになるのが特徴です。
豊かな自然に育まれた南アフリカワインは、コスパが高く、保存料も少ないナチュラルなワインが魅力です。一本のワインにおける酸化防止剤の使用量は、日本やフランスやドイツやオーストラリアの約半分とも言われており、二日酔いになりにくいワインと言われています。
また、南アフリカはブランデー作りが盛んで、ワイン用ブドウの大半がブランデーに使われます。
ナポレオンが愛した南アフリカのデザートワイン
南アフリカのクレイン・コンスタンチアの極甘口ワインは、世界最高峰の甘口ワインとして知られています。
英国ワイン評論家「ヒュー・ジョンソン」は、「天から来た世界で最も素晴らしいワインの一つ。伝説のコンスタンシア。」と記しています。
クレイン・コンスタンチアは、フォールス湾を見下ろすコンスタンチアバーグの丘の上にあります。その景観から、世界で最も美しいワイナリーの一つと言われています。
ワイン造りに適した涼しい気候の恩恵を受けたコンスタンシアでは、甘口だけでなく辛口の美味しいワインも造られています。
フランス皇帝ナポレオンがコンスタンチアに亡命し、ナポレオンのお気に入りのワインだったのが、クレイン・コンスタンチアの極甘口ワインでした。
アパルトヘイトとワイン造り
南アフリカは17世紀からオランダ、英国の植民地支配を受け、独立後も白人支配層が多数を占める非白人を極度に差別するアパルトヘイト(人種隔離)政策を進められていました。
1991年にデクラーク大統領がアパルトヘイト関連法を廃止し、1994年の初の全人種参加の総選挙でマンデラ氏が初の黒人大統領に就任します。
ワインにおいても、1991年のアパルトヘイトが廃止になった頃から、小規模高級ワイナリーが生まれて、先進国からの投資や人気のブドウ品種の改植が進められ、ワインの生産が多様で活発化していきます。
環境に配慮したサステナビリティ認定保証シール
南アフリカのワインにはボトルの首の部分にシールが貼られています。品質、産地、品種、ヴィンテージを保証し、持続可能な農業の認定を受けたことを証明するシールです。認可を受けるためには、
・化学農薬の使用を極力抑え、農場では害虫の天敵を入れる
・植物区の生物多様性を保護する
・排水を浄化する
・農場で働く人の健康と安全衛生を確保する
という4つの項目を満たす必要があります。
最後に
南アフリカのワインは、非常に高品質でエコでいろんなことに配慮をしているということが分かりました。コンビニやスーパーにはあまり置かれていないかもしれませんが、ワインショップなどに行った時に、南アフリカ産のワインに注目してみると、いろんな発見があるかもしれません。
ワインは1つの産地の色を知ることで、もう1つの産地の色もよろ明確に理解することができます。ぜひ、今回の記事も参考にしてみて下さい。